第1話
紀元前1世紀、漢帝国の支配を受けた朝鮮では、多くの流民が朝鮮民族の小国群に保護を求めて逃げ込む状況が続いていた。そのひとつ扶余(プヨ)国の皇太子クムワは、反乱軍の指導者で盟友のヘモスとひそかに手を組み、武術大会の参加者を装って漢軍の要衝ヒョント城に潜入し、囚われていた流民を救出する。父王ヘブルは息子クムワの活動を知らずひたすら漢との関係構築に腐心するが、悪賢い参謀プドゥクプルはクムワの様子に疑いの目を向ける。
その後、ヘブルの代理としてヒョント城に赴いたクムワは、ハベク族首長の娘ユファに出会い、妻子ある身でありながら一目でその美しさに心を奪われる。ヒョントの太守は朝鮮諸部族の目前で自慢の精鋭部隊「鉄騎軍」に流民の一団を虐殺させたため、激怒したユファは太守に食ってかかり監獄へ入れられるが、クムワは漢軍の仕官となっている旧友ヤンジョンに頼みユファを釈放させる。
一方、ヘモスは反乱軍を率いて流民救出活動を続けていたが、漢軍への奇襲作戦で鉄騎軍のやりを受けて負傷する。川に流され瀕死のヘモスを見つけたユファは彼を助けて手厚く介抱し、名も名乗らないその男性に強く惹かれる。そして、ヘモスの捕縛を狙う漢軍がハベクの村にも現れ、かくまえば部族全員の命はないと脅迫する。重傷の男が娘ユファと一緒にいることを知ったハベクは漢軍に通報するが、鉄騎軍が小屋に突入したときには、ヘモスはすでに姿を消したあとだった。
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