レギュラー版バックナンバー
第18話『武家の古都 鎌倉』初回放送:2014年11月19日(水) 22:00~22:55
神奈川県鎌倉市。関東の古都と呼ばれ、中世以来の多くの古刹と、近代に築かれた洋風建築が点在する。それら日本の歴史を物語る貴重な文化財の数々が、世界遺産として認定されることをめざし、現在、神奈川県をはじめ、鎌倉、横浜、逗子の3市が一体となって取り組んでいる。
今回は、世界遺産登録に向けて取り組む、古都・鎌倉を滝田栄が訪れ、その魅力を伝える。
鎌倉の顔と言えば、長谷の高徳院から町を見下ろす、鎌倉大仏、創建から約750年、ほぼ造立当初のままの姿が今に遺されている。滝田が最初に向かったのは、「銭洗弁財天」。ここは、源頼朝が鎌倉幕府の安泰と民心の安寧を神仏に祈請した場所だそう。鎌倉幕府を開いた頼朝の祈りを想像する。京の貴族を実力で制した源頼朝は、武家政権を確立すべく鎌倉幕府を創設した。以来およそ150年以上にわたり、鎌倉は日本の政治と文化の中心になる。
多くの寺が建立された鎌倉の地で、武士たちが己の精神を磨くための礎としたのが仏教。なかでも、鎌倉武士が深く帰依した禅宗。格式ある5つの臨済宗の寺院は「鎌倉五山」と呼ばれた。その中で、円覚寺と建長寺を訪れる。円覚寺は北条時宗が創建した臨済宗円覚寺派本山。元寇、すなわち蒙古襲来で命を落とした人々を供養するために建てられたそうだ。大仏殿で本尊・宝冠釈迦如来を拝む。そして、わが国最初の禅寺、建長寺では、仏殿で本尊・地蔵菩薩拝む。鎌倉武士は、禅の精神に何を見出したのか。また、慈しみにあふれた顔を前に滝田は何を思うのか。
時は変わり、江戸末期。「江ノ島詣」をきっかけに避暑地として親しまれるようになり、明治から昭和初期には、関東の文化サロンに相応しい町として、洋館がいくつも建てられた。それらは、鎌倉市の「景観重要建築物」に指定されている。その一つ、鎌倉文学館を訪れる。明治に建てられた前田侯爵家の別荘として建てられ、昭和11年に改築された建物。現在は市の建造物として一般公開されている。滝田は、内部を観賞しながら、鎌倉を愛した文豪らを思う。文士らもまた、禅の心を感じながら、自己と向き合い執筆に励んだのかもしれない。
最後に、鎌倉彫を営む店「鎌倉彫寸松堂」を訪れる。屋根に寺院の法輪塔を思わせる塔が建ち、擬洋風建築を思わせる姿を今に遺す建物。鎌倉彫は、鎌倉時代に中国から禅文化とともに伝わった漆芸品をもとに鎌倉仏師が考案したもの。ここで滝田は、鎌倉彫の彫りの工程を特別に体験する。建物とともに、そこに根付く伝統を守る人々の姿をみる。
鎌倉時代に育まれ、近世以降の文豪らをも魅了した禅の心、そして鎌倉仏師の伝統を守る思い、この歴史をどう世界に伝えるのか。
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