レギュラー版バックナンバー
第16話『彦根城』初回放送:2014年10月22日(水) 22:00~22:55

滋賀県彦根市。中山道と北国街道の分岐点に位置し、琵琶湖にも面した交通の要衝として、古来より栄えた。江戸幕府が開かれて以降は、西国大名を抑えるため、譜代大名の筆頭であった井伊氏が藩主を務めさらに大きく発展した。
今回は、特別編。次なる世界遺産ともいうべき暫定リストに記載されている国宝「彦根城」を滝田栄が訪ねる。彦根藩の井伊家で一番有名なのは、桜田門外の変などで知られる井伊直弼、そして初代藩主は直政。直政の死後、家老•木俣守勝が城の移築計画を家康に伝え、彦根城の移築が決定。彦根城は豊臣恩顧の大名が多い西国への抑えの拠点として完成が急がれ、幕府から奉行が派遣され近隣諸国の大名に助役が命ぜられるなど、幕府主導の公儀普請で工事が進められた。そのため材木や石材を周辺の古城や廃寺から集め、今風にいうと彦根城はリユース(再利用)の城だった。
彦根城が世界遺産にも相応しいとされる理由は、400年前の天守や城郭があるだけでなく、城内の御殿や城下町など、当時の佇まいがよく残っていることだ。
滝田は彦根市の職員に、彦根城の魅力と貴重な文化財について説明を受けながら、城内を案内してもらう。重要文化財である多聞櫓、天秤櫓、そして、国宝の天守閣へ。彦根城は一度も戦を経験することがなかった。江戸時代にも藩主が天守を訪れることはあまりなく、天守には歴代藩主の甲冑が収納されていたという。結果的に、城下から見上げる彦根藩の象徴という役割を担ったのだ。
およそ260年の間に培われた文化や伝統の中に実は意外なものがあると聞き、とある店を訪ねてみた。その意外なものとは?
江戸時代が終わり、各地の城が旧体制の遺産として破壊される中、明治11年、明治天皇の北陸巡幸の際、同行していた大隈重信の進言や地元の人々の熱意により、天守や櫓の一部保存が決定されたそうだ。この美しい天守の姿が人々の心を動かしたのか…。
こうして、数奇な運命を辿った彦根城は、中世に建てられた姿のまま、昭和27年天守が国宝に指定され、1992(平成4)年には世界遺産の暫定リストに掲載された。現在、世界遺産に登録される日に向け修理や保全の取り組みが行われ、年々観光客が増えている。
戦乱のない江戸時代の礎となった彦根城。滝田は、時を経て遺された城で何を思うのか。
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