![]() |
ジェームズ、先ほど「トップ・ギア」の強みの一つは、司会者どうしのけなしあいだと言いましたね。 番組のキモでもある、あなたとジェレミーとリチャードの間にあるおもしろみの原動力とは、何なのでしょうか。 |
![]() |
憎み合いと憐れみ合いの組み合わせだろうね。ぼくはジェレミーをどうしようもないやつだと思っているし、むこうもぼくをそう思っている。リチャード・ハモンドのことは気難しいやつだと思っているけど、彼はぼくをろくでなしだと思っている、という具合なんだ。あきらめの境地で、お互いの欠点を受け入れている。正直言って、みんなひどい欠点があるしね。当然、我慢しているわけだよ。そうでないと一緒に仕事はできないから。遊び場みたいなものでもあるけどね。 リチャード・ハモンドが嫌がることを見つけたら――ついこの間も、彼をイラつかせることを発見したんだけど――そこにセンターパンチでしっかり印をつけて、でかいハンマーでぶっ叩いてやるんだ。めちゃめちゃに楽しいよ。 |
![]() |
番組のなかでジェレミーが言うマッチョなセリフに閉口することはないですか。 |
![]() |
うーん、ジェレミーと一緒だと、四六時中閉口しているね。社会的責任や知識人としての責任の点でも、問題アリだから。見た目もひどいし。だからそうだね、どこか目立たない場所に連れて行ってしまいたいと思うね。 |
![]() |
そう、相当マッチョに見えますよね。でも弱点も見つけてあるんでしょう? |
![]() |
シスがぜんぜん足りないし、あれで根はかなり繊細なんだ。ジェレミーを傷つけるのはとても簡単だよ。何時間でもしゃべりつづけるくせに、一言二言何か言ってやるだけで、シュンとして逃げだすんだ。でかいくせに、けっこう意気地なしなんだから。 |
![]() |
番組の台本作りには参加していますか。また、「トップ・ギア」の一員であるうえで、とくに大変なことや、おもしろい点は何でしょうか。 |
![]() |
本作りには全員が参加するよ。アイディアとか、ちょっとしたネタとか、ジョークとか、セリフとか、そういうものをみんなで出しあうんだ。「トップ・ギア」の制作で一番大変なのは、新鮮さを保つことだけど、それともう一つ、企画がずっと複雑で大掛かりになってきているから、制作に時間がかかって、作れるエピソード数が少なくなっていることだね。 前は1シリーズに10回か11回のエピソードを作っていたのが、今では5、6回になっている。でも、作るのには実際1.5倍ぐらいの時間がかかっているんだ。グラフにしてみたら、いつかは「トップ・ギア」の1分間ぶんの制作に丸1年かかるときが来るかもね。まだまだ先のことだろうけど。 |
![]() |
番組でも、それ以外でも、多くの車に乗ってこられましたね。これまで運転したなかで最高の車は何でしょう。またその理由は。 |
![]() |
世界最高の車は1991年型シトロエンAX-GTだというのが、長年のぼくの持論なんだ。コストやメンテナンスを考慮して、おまけに乗り心地もよくて、ある程度スペースもあって、という具合にもろもろひっくるめて考えるとね。 最近乗った中で一番エキサイティングだったのは、フェラーリ458と、ぼくが最高速度記録を出したブガッティ・ヴェイロン・スーパースポーツだね。新型のロールス・ロイス・ゴーストにも最近乗ったんだけど、ぼくは大きくて乗り心地のいいラグジュアリーカーがちょっと好きだから、ほんとうにすばらしいと思ったし、できれば所有してみたいんだけどね。 |
![]() |
現在は、何台の車をお持ちですか。 |
![]() |
博物館にあるのを入れると、今は6台だね。 |
![]() |
すべてハマースミスにあるあなたのガレージに置いてあるんでしょうか。 |
![]() |
4台はね――ガレージのこと、なんで知ってるの?――秘密のはずなのに。 |
![]() |
それは、インターネットの時代ですから。 |
![]() |
そう、4台はガレージにある。フィアット・パンダは外に駐車してあって、シトロエンはナショナル・モーター・ミュージアムで保管されているよ。 |
![]() |
ジェームズ、あなたの車に対する興味はどこから生まれたのでしょう。たとえばお父上など、ご家族の影響があったとか、どのあたりに由来するものなのでしょうか。 |
![]() |
広い意味では、父の影響を少しは受けているね。産業界で働いていて、技術的で実用的な知識があったから。子供のころは、男の子だったら、とくに英国の男の子ならたいていそうだけど、車に夢中だった。2、3人の友達と車雑誌を貸しあったり、車談義をしたり、壁に車の写真を飾ったり、そういうおなじみのことをしていたね。 車にはずっと魅力を感じていて、その後、まったく別の分野のジャーナリズムの世界に入ったんだけど、ある日『オートカー』という歴史ある英国の自動車雑誌の編集補佐の仕事を見つけて、応募して採用されたんだ。そんなわけで、それまでずっと読者の立場だった世界に、自分が足を踏み入れることになった。今ではどっぷり浸かっているわけだけど。 |