「トップ・ギア」は、非常にイングランド的な、英国らしい番組ですよね。それなのに全世界でこれほど人気を博しているのはなぜなのでしょう。これほどたくさんの人すべてを、たとえばダライ・ラマのように引きつける番組の魅力とはなんでしょう。
それほんと? シニカルな態度抜きで、本音で作っているからかな。3人とも、純粋にベストを尽くそうとしているから。そういうのは、英国だけにとどまらず、誰にでも通じることだからね。
それに、ぼくらが取りあげているのは車や運転についてだけど、このテーマは自分では全然運転しない人にもなにかしら関係することだよね。たとえ乗るのが、毎日通学に使っている車やバスだけだったとしても。誰でも、ある場所から別の場所へと移動したり、もっと遠いところへ行ったりするという シンプルな人間のニーズとは無縁じゃない。車や輸送機関がぼくらにとって重要なのは当然だよね。
だからこそ、みんな絶えず批評したりもする。ある場所から別の場所へ移動するのに、早く行けたり、かっこよく行けたり、たくさん荷物を運べたりすることは、基本的な人間のニーズで、大事なことだと思うんだ。さっきも言ったとおり、それは英国のコッツウォルズの丘陵地帯を車で回るとか、ボンネビル・ソルトフラッツをハイスピードで横切るとか、そういうことを超えた意味を持つ。なにをするのか、場所はどこか、どんな生活を送っているか、そういうことに関係なく移動することは必要で、物理的にある場所から別の場所へと自分を動かす能力は、みんなに共通のものなんだ。そうやって動き回ることを可能にする方法、つまりテクノロジーやスタイルやファッションや個人の財力の問題なんかが、ほんとうに興味深いね。
だから、みんなにアピールするテーマについて貢献できて、取り組めているぼくらはすごくラッキーだ。とくに、たぶんみんなに理解してもらえているものを作っているという点で、ラッキーだね。ただの3人の男として、本音でやっているからね。
「トップ・ギア」みたいなクレイジーなテレビ番組を、よく英国で作れるなと思います。日本ではまず無理でしょうから。
そんなことはないよ。厳密には、英国でもだめかもしれないけど、ぼくらはこれまでずっとお咎めなしにやってこられたし、誰も気にとめないし、たぶん……きみに無理だとしたら、それはみんなきみには注目するからだろうね。でもぼくらみたいなむさくるしい3人衆が車を乗り回していたって、誰もとくに気にしやしないし、だからそれでやっていけているんだろう。
あなた自身もクレイジーなんですか?
うん、カンペキにね。ぼくらは、知能はすごく高いんだ。3人とも、いや少なくともぼくは天才並みのIQレベルだし、ぼくらはジャーナリストや芸術家としても一流だね。
天才なんですか?
そう、その通り。ちゃんと書いといてね。ほんとだから。
今後、また来日の予定はありますか。
うん、きっと。撮影には格好の場所だからね。こちらとは全然ちがうから。行ってみるとなにひとつ理解できない国っていうのは、世界のなかでそう多くないから、そこがいいんだ。撮影も楽しいし、まちがいなくまた来るだろうね。 ぴったりのアイデアや撮りたいものを思いついたら、きっと戻って来ると思う。
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