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偉大なドライバーと呼べる人物は何人かいますよね。たとえば、ウォルター・ロールやステファン・ローザなどがそうですが、あなたはいちばん才能のあるドライバーは誰だと思いますか。またその理由は? |
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それは、いちばん才能のある画家は誰かって訊くのと同じだよね。答えにくい質問だと思う。政治家みたいにちょっと遠まわしに答えたら、ぼくがどんなに老練な人間かばれちゃうなあ。 いや、ラリードライバーなら誰の横に座るのも大好きだね。サーキットドライバーの横に座ると、自分がサーキットレーサーじゃないから、相手がやっていることがほとんど理解できないと思う。魔術みたいに思えて。ラリードライバーの横だと、なにをしているのか少しはわかる。 実際にやるのは100万年かかっても無理だけど、少しは理解できるから、ただ隣に座っているだけですごく感動するんだ。 そうだなあ、何年も前にスティグ・ブロンクビストの車に乗せてもらったんだけど、あれは最高だったね。なにをやっているかはぼくにもわかるんだけど、それをありえないほどうまくやるんだから。たとえるなら、ピアノを弾かない人間でも、誰かが弾いているピアノを座って聞きながら、「ああ美しいな」と思うことはできる。でも自分もピアノを弾くなら、誰かがすごくうまくピアノを弾くのを座って聞いていると、それはもう感動しちゃうだろ。ぼくは自由に運転するのが好きだから、ラリードライバーと一緒にドライブしたら、すごく感動するね。 |
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オーストラリアの自動車産業の主力であるユート(オセアニアでのピックアップトラックの呼称)については、どう思いますか。国際的に人気が出ないのはなぜだと思いますか。 |
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じつは、ぼくは1台持っている。最近ある写真家にあげちゃったけど。スバルのやつで、すごくいい車だよ。 なぜ人気が出ないんだろうね。ぼくはすごくユートが好きだけどね。荷室がいいよね。でもなんでかな。考えてみれば、ピックアップの実際の耐久性とか、漠然としたオフロード性能とかが必要でもないのに、ピックアップに乗っている人はやたら多いよね。そういう人たちは、ユートを選んでもいいと思うんだけど。わからないな、見た目もかっこいいと思うしね。全体的に感じがいいよね……フォードP100だっけ、すごくかっこよかったよね。ぼくにはウケた。少しはオーストラリアの人の慰めになるかな。ぼくは好きだ。それ以上のことは、ぼくにはわからない。 なにかが人気を得る理由を知るには、それが車であれ、靴であれ、テレビ番組であれ、何十年も前に起きた、あるちょっとしたなんでもない出来事にまでさかのぼらないといけないこともある。たとえばそのとき、誰かが尻を掻きながら「これはいい、これなら冷蔵庫を後ろに積める」なんて言って、それからバーンと世界中で大ヒットしたのかもしれない。だから、理由はわからないね。 |
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自分の人生が映画になるなら、誰に演じてもらいたいですか。 |
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それはもう、ブラッド・ピットかジョニー・デップだね。とにかく誰であれ、ぼくとは似ても似つかない人間がやらないといけないだろうね。背が高くて、礼儀正しくて、上品で、ハンサムで、かしこいやつ。 でも映画のなかでぼくを演じるなんてク○みたいだろうから、誰がいいとは言えないな。がっかりさせられる映画になるに決まってるんじゃない、主人公がバーミンガム出身のチビなんてさ。ぼくのことだけど。 |
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ポーランドの人々は、ロバート・クビサの大事故のときのあなたの親切な振る舞いに、深く感動しています。 あなたも数年前、同じように辛い経験をされましたね。どうやってトラウマを克服したのですか。またロバートになにかアドバイスはありますか。 |
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ぼくの場合、頭のけがから回復しつつあるところなんだけど、それは長い道のりで、すごく時間がかかるんだ。 じつは去年、別のテレビ番組制作のためにシド・ワトキンズ教授と話をしたんだけど、教授はモーターレース界での頭部損傷に関する第一人者なんだ。その教授にこう言われたよ。専門家たちには頭部損傷は2年で回復できると言われるかもしれないが、そうじゃない。3、4年はかかる、長い長い道のりなんだ。だから、あわてずにどっしりとかまえて、「まあ、少しはよくなったかな」というふうに考えればいいって。6か月後に振りかえってみれば、あの頃はまだ具合が悪かったけれど、今はよくなった、と思えるだろう。長い道のりだから、あわてずに治していくしかない、とね。 |
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あなたの夢の車は、なんですか。 |
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ぼくの夢の車は、公式にはパガーニ・ゾンダで、あとは新しく出たパガーニ・ウアイラも好きだね。テクノロジーと、タフさが絶妙に融合していて、見た目はすごくワイルドだし、まるで空から降り立ったばかりみたいに見えて、すごくエキサイティングだね。車のあるべき姿を丸ごと体現していると思う。ばかみたいに高いしね。そういうのが夢の車かな。 |
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「トップ・ギア」の長い歴史のなかで、お気に入りのゲストは誰ですか。 |
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あのコーナーについては、ぼくはかやの外なんだ。ゲストは番組の前に、ジェレミーのビロード敷きのウィネベーゴに招き入れられて、その間ぼくは外でトラックの整備をしているから。 マイケル・ガンボンはずっと好きだったね。いつも愉快だし。本物の車好きで、本当にものすごく早くやって来るんだ。朝もやのなかでトラックに立って、これから挑もうとしているコーナーをじっと眺めていたり、誰彼かまわず話しかけて、車やら飛行機やらについてしゃべったりするんだ。うれしいことに、彼は本物だね。だから楽しいんだ。 |