Chim↑Pom SPECIAL

#19 2022.02.19 /
#20 2022.02.26

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賛否両論を巻き起こしつつ、世界中から注目を集めているChim↑Pomの大規模な回顧展が、森美術館で開催中。現代社会に対する強いメッセージ性と皮肉やユーモアにあふれた多面的なChim↑Pomの世界を、メンバーや関係者、Chim↑Pomを愛する人々のコメントと共に振り返る<Chim↑Pom SPECIAL>。

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『Chim↑Pom展: ハッピースプリング』
会期: 2022年2月18日(金)~5月29日(日)
会場: 森美術館 ほか

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今回アートの冒険に出かけるのは、プロデューサーや経営者としても活躍しながら、様々なアーティストとコラボレーションをするサイトも立ち上げている俳優のMEGUMIさん。

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Chim↑Pomのエリイさんとの関係も深く、「頻繁に会うわけではないけれど、彼女の濃厚な人生のかなり大きな出来事のときに必ず行っているような気をする、不思議な関係性ですね」と語る。

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アーティストコレクティブChim↑Pomが結成されたのは2005年。結成当初を知る現代美術家の会田誠さんとChim↑Pomのメンバーである卯城竜太さんが当時を振り返る。

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会田誠 ▶ 1965年生まれ。現代美術家。ミヅマギャラリー所属。絵画だけでなく、様々な表現領域で国内外から注目を集め続けている。
コチラもご参照ください → #5 & 6 アートフルトウキョウ#8 アート夏期講習 戦争画の疑問

会田誠さん
「まず最初は、僕の所属しているミヅマギャラリーのインターンに、卯城(竜太)と林(靖高)が来て、僕くだらない作品の手伝いを…」

卯城竜太さん
「インターンというかボランティアという感じで。僕がミヅマに最初に行ったときに飲み会で居酒屋に行って、そのとき、会田さんはヨーロッパの社会情勢とか話してて、インテリジェンスだ、とか思って。そんな話、あのときしか聞いたことがない(笑)。で、ちょっと遅れてエリイちゃんが来たんですよ。僕もギャル男だったんですけど、エリイちゃんもギャルで、ドカって座って、“誰の紹介?”って言われたんだよね。それがエリイちゃんとの出会いで。“何かやろう”って林と話してて、それでどうせだったら、エリイちゃんと真逆のキャラクターがいいんじゃないかってことで、会田さんの1期生の岡田(将孝)くんがいて、会田さんが他のところで教えてた水野(俊紀)がいて、後から稲岡(求)くんって3年生も合流して、Chim↑Pomになったっていう感じ」

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結成されたChim↑Pomが2005年、最初に作った映像作品が『ERIGERO』。これを見て会田さんは、「とてもコンセプチュアルなアートとして完成度が高い」ものだと見たと話す。一方卯城さんは、「最初はアートか、アートじゃないかなんて決め打ちしてなくて、そばに会田さんとかいるし、あんな絵を描けるスキルもないし、やれるとしても邪道なことしかできないだろうけどっていうことだったんだけど」と当時の思いを率直に振り返った。

この『ERIGERO』について、現代美術家であり、ライブストリーミングチャンネル「DOMMUNE」の主催でもある宇川直宏さんは「Chim↑Pomの原点だ」と話す。

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宇川直宏 ▶ 1968年生まれ。現代美術家、DOMMUNE主宰。VJグラフィックデザイン、文筆家と多才なフィールドで活躍している。

宇川直宏さん
「エリイちゃんってリアルギャルをその前年ぐらいまでやってたんだと思うんですけど、素のエリイを演劇的な関係性の中でメタに演じている、という感じがしたんです。今考えたら、<紅一点>って言葉自体がもうセクハラになっちゃうじゃないですか。なんですけど、Chim↑Pomが成立している理由っていうのは、<紅一点>という一点の<紅>自体が巨大なピンクのブラックホールになってるっていうふうにその当時感じたんですね。男性メンバーを飲み込むほどの強大なエネルギーを放っているブラックホールなんですけど、そのブラックホールを中心としたコズミックというものが、Chim↑Pomを形成してるんだと。そして、この『ERIGERO』という作品自体がその原点であるというふうに考えることができると思うんです」

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処女作『ERIGERO』から、Chim↑Pomは様々な作品を制作。その中でも『SUPER RAT』、『BLACK OF DEATH』といった都市に生きるネズミやカラスを題材にした作品は大きな注目を集めた。

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SUPER RAT/2006 ▶ スーパーラットを網で捕獲し、その剥製を黄色に着色し、捕獲した映像と共に展示した作品

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BLACK OF DEATH/2007 ▶ カラスの剥製を持ち、鳴き声をスピーカーで流すことで、街中のカラスを集結させたゲリラアクション

MEGUMIさん
「見ていて気持ちいいものではない感じだけど、みんなが目を背けたくなる事実だけど、カラス、ゴミとか絶対に視界に入っているテーマ。そういうところを見逃さずに、持ち上げて、私たちにバーンと投げる感じ。なんかざわざわする感じなんです」

そして、このスーパーラットやカラスをテーマにしたことがChim↑Pomにとっての一つのアイデンティティを見出したと卯城さん。

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卯城竜太さん
「ネズミもカラスも基本的には都市の野生なんですよね。で、自分たち(Chim↑Pom)自身に対しても、その都市の野生というようなものを見出していたというか、基本的にはそういう都市生活の中心にいるというか、周辺で生きていく人間たちだったので、そういうところで、スーパーラットの生き方自体が自分たちにも当てはまったし、それから世の中全体の進化にも当てはまるし、進化って言い方より変異っていういい方のほうが多分正しいんだと思うんですけども。適用するように変異していく生存戦略みたいなものがすごく自分たちのアイデンティティとしても考えられたんです」

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MEGUMIさんは、都会に住むということは「“わかってはいるけれどもやめられない”みたいなことの繰り返し」と表現する。その中で生まれるChim↑Pomの作品は「今じゃなきゃできないし、東京に住んでるからこそできる作品性」だと考察。その「東京」の中心ともいえる渋谷の「渋谷PARCO」でChim↑Pomは2012年、大規模な個展「PAVILLION/2012」を開催することになる。そこで新作として制作したのは、『Gold Experience』というタイトルの巨大なゴミ袋。この作品を「東京の象徴として、それ自体が自画像的に見える」と卯城さん。このPARCOでの個展は新たな展開へのきっかけともなったという。

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Gold Experience/2012

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PAVILLION/2012

卯城竜太さん
「Chim↑Pomとやるんだったら5回に1回は提案に対して、YESと言おう、というふうに覚悟を決めてくれたらしいんです。それにプラス、PARCOも昔はすごく文化で盛り上がってたけど、最近ちょっとおとなしいよね、というのがPARCO内にあったらしくて、それで、Chim↑Pomとやる限りは、そこを乗り越えていこう、ということがあったらしいです。商業施設や美術館、そういういろんな機関や施設の限界値を超えていく、広げていく、そういうことができるようになっていくきっかけでした」

Chim↑Pomは、2008年の「日本のアートは10年おくれている 世界のアートは7、8年おくれている」や2009年の「くるくるパーティー」など、空間を使ったインスタレーションも手掛け、大きな衝撃を与えている。宇川直宏さんは「絶賛でも、絶句でも拒絶でもいいので、濃厚接触を果たした上でしか評価ができない、そういったアーティストがChim↑Pomだと思う」と分析する。

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日本のアートは10年おくれている 世界のアートは7、8年おくれている/2008

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くるくるパーティー/2009 ▶ 実際に行ったホームパーティーの乱痴気騒ぎを、映像と食品サンプルで再現したインスタレーション

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また、Chim↑Pomは2008年、広島上空に飛行機雲で「ピカッ」の3文字を描き大きな反響を生むことになる。地元の新聞では、住民からの怒りと不快の声が掲載され、卯城さんは被爆者団体の代表を前に謝罪会見を行うこととなる。しかしその後Chim↑Pomは、被爆者団体の方々と何度も話し合いを重ねた上で、一連の騒動を検証した書籍『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』を出版。広島と核問題をテーマに制作した作品をまとめた展覧会を『広島!』というタイトルで巡回させている。

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卯城竜太さん
「謝罪会見に出席したときに、7団体主要な被爆者団体があるんですけれども、そのうちの5団体の代表の方が出席されていまして、その中で坪井(直)さんという被爆者の方がいまして、被爆者運動の代表的なことをずっとなさってきた方なんですけども、“諦めずにしっかり頑張りなさい”みたいなことを言ってくださったんです。そこには形式的なものはなくて、個人として優しくほほえまれた感じで、そこから交流が始まりました。彼らは被爆者という当事者意識でやってますけども、僕たちは被爆者ではないし、また広島の市民でもない。でも、世界中に配備されている核の問題をどういうふうに当事者意識を持てるかという、そういうことをずっと考えながらああいうことをやったので。やっぱりそれは普通に話せばわかることというか…。あと、2011年の東日本大震災のときにも坪井さんから「不撓不屈、ネバーギブアップ」という彼の座右の銘(を書いたもの)をFAXで送っていただきまして、そこから自分たちが福島県とかに直接行って作品を作っていくエネルギーをもらった感じがします」

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坪井直さん
前 日本原水爆被害者団体協議会代表委員 前 広島県原爆被害者団体協議会理事長

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『なぜ広島の空をピカッとさせてはいけないのか』 著者: Chim↑Pom 阿部謙一 河出書房新社

この広島での一件は、Chim↑Pomを成長させた、と会田さんは話す。

会田誠さん
「やっぱり場数を踏むたびに成長するもので、一番わかりやすいのは、広島に“ピカッ”って文字で書いて地元で怒られ叩かれたあの後、やはりすごく成長になっただろうな、と傍から見て関心してました。そういうのがいくつもChim↑Pomはありますね」

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リアル千羽鶴/2008-

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PAVILION/2013

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Non-Burnable/2017

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Never Give Up/2011

また、2011年、東日本大震災の計画停電によって、街中が暗くなった渋谷駅で、Chim↑Pomが名前を伏せた上で、岡本太郎の『明日の神話』に福島第一原発を描いた絵を付け足した。これを撮影した通行人の画像がネット上で拡散。匿名の行為として議論を巻き起こすことに。半月後、Chim↑Pomが自分たちの作品であることを発表。この件で、Chim↑Pomのメンバー3人が軽犯罪法違反で書類送検されたが、のちに不起訴となった。

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宇川直宏さんは、これがニュースになったのを見て、すぐに「Chim↑Pomだな、これ」と思ったという。「スペクタクルな現実を演出できる、そういった器を持ってるアーティストってなかなか存在しなくて、Chim↑Pomぐらいしかあれを成立できるような、磁場を放ってる現代アーティストはいないだろう」と宇川さん。まさに時代の瞬間瞬間を逃さず、提示していくChim↑Pomを象徴するような出来事となった。

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LEVEL 7 feat.『明日の神話』/2011

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MEGUMIさんが次に訪れたのは、新宿・歌舞伎町。Chim↑Pomは、この場所でも多くの作品を生み出し、展覧会を行っている。
2016年Chim↑Pomは歌舞伎町商店街振興組合ビルで個展を開催。これは解体予定のビルで展示やライブパフォーマンスなどを行い、会期終了後はそのままビルが取り壊される全壊する展覧会。「また明日も観てくれるかな? So see you again tomorrow, too?」。

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「また明日も観てくれるかな? So see you again tomorrow, too?」/2016

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ビルバーガー/2016-

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“Sukurappu ando Birudo プロジェクト” ▶ 東京オリンピックに向けた大規模再開発中に行われた個展やイベントからなるプロジェクト。取り壊し直前の歌舞伎町ビル全館にさまざまな作品を展示。ビル解体と共にすべてが破壊された。

卯城竜太さん
「手塚マキというキーパーソンがいるんですけど、エリイの結婚相手でして。歌舞伎町商店街振興組合の今の理事の一人なんですけれども、振興組合ビルが壊されるから何かやらないっていうふうに言ってきてくれたんです。オリンピックが決まってから、街の再開発が渋谷にしろ新宿にしろ、大規模に進んでいたこととかを知っていたし、話を聞くと、振興組合ビルができたのも1964年、1回目のオリンピックのときということで、「また明日も観てくれるかな?」というビルごと作品も全部壊してもらうという全壊する展覧会をやったんです」

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会期終了後、作品ごとビルは取り壊され、この瓦礫を高円寺のキタコレビルに運び込み、その上に新しい作品「道」が制作された。

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Sukurappu ando Birudoプロジェクト 道が拓ける」/2017

卯城竜太さん
「ビルや作品の瓦礫で新しいものを作っても、ちょっとしょうがないというか、例えば何か究極のスクラップアンドビルド…埋め立て地…舗装して道を作ろうと。僕たち制作するのに道の上でやってきたっていうこともあって、その態度表明というか、あの道の上でもずっと作り続けています」

宇川直宏さんは、「僕はChim↑Pomの作品で、今も響き続けてるのはやっぱり道なんです」と話す。卯城さんは「再開発後の町に行くと、昔ここに何があったかってなんか忘れちゃうっていうか、記憶喪失みたいになっちゃうと思うんです。記憶にとどめておくというのは、やっぱりパフォーマンスだったりライブだったり音楽だったり、そういう形のないものっていうことで、僕たちにとっては『Sukurappu ando Birudoプロジェクト』をやるにあたって、建物が壊されて物質的なものだけじゃなくて、そういう記憶をつくっていくこと大事だ」とその意味を言葉にした。

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The Road Show2017

2020年、Chim↑Pomはエリイさんのおなかの中の胎児の立体エコー写真をデザインした巨大な風船に、血管をほうふつとさせる赤い糸をくくりつけ、参加者が糸を握り、公共空間に漂うバルーンを繋ぎ止める責任感を胎児との繋がりにオーバーラップした作品を作った。その制作に参加していたのが、Chim↑Pomのファンでもある和田彩花さん。

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『はい、こんにちは』(2020)
和田さんはこの詩の朗読役でこのプロジェクトに参加した

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和田彩花さん
「2年くらい前に初めてエリイさんとの対談という機会をいただいて、そのとき、エリイさんのおなかの中に赤ん坊さんがいて、その誕生のイベントに遊びに来ない?というふうに誘っていただいて行きました。すごいなと思ったのはその赤ちゃんのエコー写真を大きなバルーンにして、それを空に浮かべたんですよ。そのバルーンから赤いヒモみたいなのがたくさん吊り下がっていて、イベント中にずっと参加者が持ってないといけなかったんです。これをみんなが手を放しちゃうとバルーンは上にいってしまう。エリイさんが“自分一人では育てられないからみんなの力を借ります”みたいなことをイベントで言っていたのが印象的で、子どもはみんなで育てていくという、いろいろ考えさせられました」

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社会とアートを繋ぐ試み。卯城さんはアーティスト松田修さんとの共著、『公の時代』でもアートと社会について広い見地で論じている。

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『公の時代』卯城竜太(Chim↑Pom)+松田修【朝日出版社】

和田彩花さん
「今って“個”っていう部分がすごく強調されると思うんですけど、その“個”というのは何なのかという部分と、それに対して、“公”ってどうあるべきなのかとか。その中で、その“公”に入れる人と、入れない人がいたりするかもしれないっていう話だとか、まさに今この時代に、皆が一度は考えてほしいなって思うことが詰まっていて。それって社会問題を提示するっていうだけじゃないと思うんです。Chim↑Pomの展示を通して、しかもこういう美術館で開かれた場所でいろんな人が見れて、六本木という場所で、わかりやすく“公”の場にChim↑Pomが大々的に介入していくっていうのがめちゃくちゃカッコいいと思うし、そこで私たちが考えられることがたくさんあると思うので、ぜひそれに気づいていけたらいいなって思ってます」

渋谷、新宿と歩き、最後は、MEGUMIさんは、『Chim↑Pom展: ハッピースプリング』が開催される六本木・森美術館前に。
「海外でもたくさんやってるけれども、この東京でどういうものを作るのかなっていうのは本当に興味があるし、この美術館の方たちとの関係性から生まれてくるものもあると思うので、本当にめちゃくちゃ楽しみだし、感動するだろうなあと思ってますね」とMEGUMIさん。

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この『Chim↑Pom展: ハッピースプリング』を企画した森美術館のシニアキュレーター近藤憲一さんに展覧会の見どころをうかがった。

近藤憲一さん(森美術館・シニアキュレーター)
「Chim↑Pomは今年結成17周年を迎えるわけなんですけれども、彼らの活動初期から、近年までの代表作、それから本展のための新作まで、一挙にご紹介します。今までChim↑Pomはいくつもの個展を開催していますが、彼らの活動の全貌を一挙に紹介するというのは、これは世界初の試みで、都市と公共性ですとか、広島、東日本大震災、消費主義、スター像、メディア、境界などなど、非常に幅広い主題を扱った作品を制作し、活動を行ってきているわけですし、これらのものが一挙に紹介された場合、どういうふうに見えるのかというのは世の中の人、Chim↑Pom自身も含めて、誰も見たことがないものなんです。一見すると幅広いテーマの作品を制作しているように見えますけれども、すべて並べてみると、彼らの活動を貫く一貫したものが浮かび上がってくるんではないかというふうに期待をしております」

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今回の展覧会では、エリイさんの発案による「くらいんぐみゅーじあむ」という新しいアートプロジェクトも開かれている。これは展覧会のスペース内に託児所を開設し、子育て中の方々が気軽に美術館を訪れることができるプロジェクト。クラウドファンディングなどによって資金が集められ、その金額に応じて託児所を開設できる日数が変わってくるという。

近藤憲一さん(森美術館・シニアキュレーター)
「美術館というところは、本当に静かな場所でなくてはいけない。子供が泣いたりすると白い目で見られてしまう。そんな窮屈な場所…かも知れないんですけれども、子供が自由に泣いてもいいじゃないか、というメッセージも含めまして、『くらいんぐみゅーじあむ』という作品名になっております。そういったより良い環境に向かう問題提起にもなればいいかなと思い、Chim↑Pomの託児所を美術館の中に開設することにしました」

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卯城竜太さん
「過去の作品をただレイアウトしていく回顧展というのは面白くないということで、回顧展自体がプロジェクトみたいになればいいなって思ったんです。いろいろ作品が点在しながらも、また新しく道が生まれたりとか、そこで新しいパフォーマンスが生まれたりとか、逆にお客さんからもそういう道の当事者としてアイディアがあるなら欲しいし、道を作るだけじゃなくて道を育てるって僕らずっと言っていて、そういうふうに道が育っていったりとか…。あと、森美術館は左からしか入れないというルートかあるんですけど、左からも右からも入れるようにして、見え方が変わるようにしたい。ただただ自分たちがやったことを賛美するのは良くないので、“否”の声も届けていくというか…。

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それからもう一つプロジェクトスペースを虎ノ門につくるんです。そこではいろんな事情で森美術館内に展示できなかったSUPER RATのオリジナルバージョンなどを展示して、なぜ美術館内での展示ではなかったのか、その問題性を美術館と作家で、ともに考えていく場所にしたり。展覧会の会期を通して、いろんなトークだったり、パフォーマンスだったり、設置された展示空間の中で育っていくと思うんです。いつ見れば正解、ということがない。そういうプロジェクトにしたいなと思ってます」

Chim↑Pomのこれまでを振り返った今回の冒険。最後には、エリイさんに「今回の展覧会のタイトルを『ハッピースプリング』と名付けた理由は?」と投げかけた。

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エリイさん
「展覧会が決まったときって、もうすごいコロナ感染者も多く、どうなるかわかんない、というときだったんです。“やるとしたら春”みたいなのが決まったてる中で、どんな春が来ようとも、ハッピースプリングを迎えるという前向きな気持ちを込めつつ、地球も滅亡をしているかもしれないという…ことですね。ハッピースプリング!」

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出演者

MEGUMI