昭和39年、東京オリンピック開催に合わせて開業した東京モノレール。
東京の空の玄関・羽田空港と都心を結ぶそれは、東京オリンピックの成否をも賭ける日本の命題であった。
始まりは1通の手紙だった。当時の帝国ホテル社長・犬丸徹三のもとに、旧知の仲であるスウェーデン人、ヴェナーグレン博士から「アルヴェーグ式モノレールを日本に提案させてほしい」という内容の手紙が届く。そして、犬丸が発起人となり、日本高架電鉄を設立。アルヴェーグ式モノレールに魅せられた名鉄と日立製作所が参加し、昭和38年5月、羽田と都心を結ぶモノレールの起工式が行われた。しかしその時すでにオリンピックまで558日。とにかく時間がなかった。
東京オリンピック開会式まで1か月を切った昭和39年9月16日、名鉄の白井昭をはじめとする技術者たちの意地が詰まった大プロジェクトはなんとか開業式を迎える。
開発・敷設に携わった男たちの情熱と丁寧に整備・改良を重ねてきた男たちの努力の賜物は、開業から50年経つ今も、当時の姿を色濃く残しながら活躍している。