昭和44年、東京埼玉に路線を持つ西武鉄道は、有料の特急列車の運転を開始した。
スイスの観光列車からとられた「レッドアロー」という愛称のこの5000系電車は、たちまち人気を集め、先行していた小田急、東武のロマンスカーと並ぶ関東の花形電車となった。
翌、昭和45年には鉄道友の会ブルーリボン賞を受賞。
その後も、時代に合わせて複数回のリニューアルを行い、20数年にわたり常に西武の看板車輛として活躍した。
そして、平成5年。後継の「ニューレッドアロー」10000系のデビューと共に、無事その役割を終え、静かに引退していくものと思われていた。
しかし、5000系レッドアローの運命は、地方鉄道マンの熱い想いによって、意外な方向に転がる事となる。