次回放送:2024年4月22日(月) 24:30~
第136回
自動連結器~世界を驚かせた一斉交換~
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大正12年9月1日の関東大震災では、東京や横浜でも甚大な被害があり、鉄道も線路が壊れたり、列車の運転が止まったりと大きな被害を受けた。この困難を乗り越えた日本の鉄道では、より安全に走行できるように、さまざまな工夫が計画された。
関東大震災から2年後となる大正14年。日本の鉄道史において、大きな転換点となるプロジェクトが実施される。鉄道の車両同士をつなぐ旧式の手動連結器に換わり、自動連結器という新しい技術を導入したのだ。
鉄道網が拡がり輸送力の強化が求められる中で、旧式の手動連結器では、強度の不足や手間がかかり十分な対応が出来なくなる。また人の手で重い金具を持ち上げ車両同士を繋げる危険な作業であることから、連結器に挟まれるなど年々犠牲者が増加していた。
自動連結器の導入は、これらの問題を解決する手段であったが、その実施には5万2000両を超える貨車の連結器交換をどうするかという困難な問題があった。
これは長い時間をかけて検討されてきたが、関東大震災の被災から安全面の強化が急務となったこともあり、日本の物流と経済を支える重要な貨車を丸一日休止し、本州と四国、そして九州に分かれ、自動連結器の一斉交換を実施したのだ。
世界の鉄道関係者を驚かせたこの自動連結器の一斉交換は、計画の周到さ、作業員の技能と意欲、そのどれが欠けても不可能であった。
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