第57回「岩木山 春」

津軽…演歌にも数多く唄われ、太宰治、石坂洋次郎をはじめ文筆の舞台ともなった、北国の哀愁と情熱を今も留める地。
 その津軽のシンボルともいうべき山が岩木山(標高1625m)。
 津軽に生まれ育った人々は、ふるさとの山というだけではなく、岩木山を見て安堵し、そして気持ちを高ぶらせ、厳しい冬を耐えてきた。
 つらく長い冬が一息つけば、津軽はようやく待ちに待った春が訪れる。
 津軽の春はふたつ。ひとつはまだ残雪豊富な岩木山の山麓を見事に彩る、桜。特に弘前公園の桜は全国的にも名高い桜の名所。
そしてもう一つの春は名産のリンゴの花。桜の後に、やはり岩木山の山麓一帯が白いじゅうたんと化す素晴らしい眺めは津軽の春だけのもの。