写真だけで見れば、誰もが一見、“富士山”と答えてしまうほど相似するその姿。 日本にあまたある「ふるさと富士」の中でも秀麗さで群を抜く山が、日本書記にも記されている北海道の名峰・羊蹄山(標高1,898m)です。 北の大地にそそり立つ独立峰のため、山頂部は常に風が強く、特に冬はなかなか頂きに立つことを許してくれないほど。 ところが意外なことに近年、冬の羊蹄山の山肌に飛び交うのは、世界各国の言語。 そして新雪に刻まれる幾多のシュプール。 真っ白に輝く斜面、そして比類なき良質な雪は、いまや日本国内だけでなく、世界のスキーヤーを惹きつけるほど有名になっていたのです。 この撮影のガイドを引き受けてくれたのは、夏には頂上直下の避難小屋の管理人を務め、バックカントリースキーヤーでもある近藤英輝さん(51)。 その長い経験でも「めったにない好天」の中、長く白い斜面を登りきった時、羊蹄山は“めったにない”素晴らしい絶景で出迎えてくれたのです…。