第41回「仙丈ケ岳 春」

 南アルプスは長野・山梨・静岡の3県にまたがり、標高3000Mを越す高峰を9座も数える一大山塊です。一つ一つの山が非常に大きく、夏でも健脚向きと言われる山々ばかり。
その南アルプスの中でもひときわ重厚で、その大きさを誇示しているのが、仙丈ヶ岳(標高3033M)。今回はまだ雪深き3月に、“南アルプスの女王”と称えられる頂きへ、そして雲上の絶景を目指します。
 夏ならばバスが通る峠へも、積雪期は自らの足だけが頼り。仙丈ヶ岳の頂へは、登山口からの標高差2000M、原生林を抜け、真っ白の細い尾根を進む、一日10時間近い登高を余儀なくされる厳しいものでした。その行程を乗り越え、3000Mの稜線で出会った展望、それはやはり他の山とは一線を画す素晴らしい大パノラマでした。
南アルプスの全山、屹立する八ヶ岳、優美な富士山…。さらに、その山並みを主人公に繰り広げられた、風と雲と光が作り出す壮大な自然絵巻…。まさに言葉が出ないという表現があてはまる大絶景。
しかし冬から春へ移りゆく季節、天候と雪質は激しく変化し、仙丈ヶ岳は、撮影隊に過酷な下山を強いたのです…。