第40回「八幡平 冬」

 山と言えば、とんがっていたり、ギザギザだったりというのが一般的なイメージですが、一体どこが頂上か判らないくらい、のっぺりとした「山」もあるのです。その代表選手が岩手・秋田県境を成す八幡平。
 夏には観光道路が伸び、平らな山頂周辺にはネクタイやハイヒール姿の観光客も目立つ百名山。しかし雪の便りと共に人を拒絶するかのような白い世界へと変貌します。冬の八幡平の絶景、それは日本で唯一、自らの足で登っていかなければ見ることが出来ない樹氷群。まるで別の惑星に来たかと思ってしまうような、広大な原野に、冬の一時期だけ現れる樹氷の群れは言葉にし難い美しさ!
さらに、八幡平がもたらす恩恵は、火山ならではの名湯・秘湯!そのひとつ、後生掛温泉の箱蒸し風呂で出会ったのが、この山をこよなく愛す地元の女性ガイド、平山順子(ひらやまよりこ)さん。山岳スキーガイドのオーソリティでありながら、音楽家という異色の経歴。その独特の自然との語らいは八幡平の魅力をさらに大きなものにしてくれました…。