温けむり、浄蓮の滝、隠れ宿、天城隧道…と聞けば、日本人の多くは、石川さゆりさんのあの名曲のメロディが聞こえてくるはず。
伊豆半島唯一の百名山、天城山(標高1405M)。天城山とは東西に延びる山脈の総称で、天城連山とも言われる火山帯。ところが多くのハイカーは東側の最高峰・万三郎岳を中心とした日帰りコースだけで天城登山を終えてしまう。
ぜひ、天城連山を歩いてほしいと提唱しているのが、地元・天城自然ガイドクラブ代表・杉本文雄さん(64)。今回はこの、東西60キロにも及ぶ長大な“天城分水嶺トレイル”を辿る。
西側は海を望む草原ののどかな道、東側はおとぎ話に登場するような個性的な森、同じ山域にありながら、実に対照的な表情を持つ天城山。そして長い山旅の途中で出迎えてくれたのは湯量豊かな温泉とアユの香ばしい匂い。
初夏の自然に出会いながらの、現代版“天城越え”を堪能する。