第20回「谷川岳・夏」

 花や雪渓のコントラストなど、梅雨の時期ならではの谷川岳の絶景をお届けする。

 上越国境・新潟県と群馬県にまたがってそびえる分水嶺、谷川岳。多くの登山者が登山口に向かう途中に立ち寄る、ある場所がある。それは、“慰霊の広場”。そこに建つのは、805名(2012年6月現在)もの遭難者の氏名が刻まれた碑。彼らはそれに手を合わせ、自らの安全も託し山へと向かう。そうした歴史から、谷川岳につけられた別名は「魔の山」。天候の悪さは登る者に試練を与え、悪絶な岩壁は、見るものを圧倒し、命の重さを感じさせる。

 カメラは、この厳しい山に通い詰めた山岳ガイド・長岡健一さんのリードで、谷川岳随一の岩壁・一ノ倉沢の奥へと足を踏み入れる。絶景というにはあまりにも壮絶な岩壁と対峙して知る、栄光と悲劇の真実。

 一方、岩壁ではない、尾根をゆくルートは一般登山者の姿も多い。ロープウェイを利用して天神尾根から本峰を目指す道はたくさんのカラフルなハイカーでにぎわっている。番組は、この一般ルートからも頂上を目指す。撮影に訪れたのはちょうど梅雨の真っただ中。悪天候も覚悟した状況の中だったが、この梅雨時にしか見ることができない奇跡的な光景に遭遇。そして花や雪渓のコントラストなど、まさに6月ならではの谷川岳の絶景をめぐる。