日本の、ほぼ中心に位置する山塊、八ヶ岳。その山稜は大きく南北に2分され、それぞれが個性的な自然を作り出している。岩肌が印象的な荒々しい南八ヶ岳に対して、森林が包み込む女性的な山容が特徴の北八ヶ岳。今回は、ナレーションを担当する小野寺昭が、自ら冬の北八ヶ岳に足を踏み入れた。
冬山入門の山とはいえ、北八ヶ岳の寒さは一級品。小野寺が訪れた1月半ばも、山は寒気に見舞われ、温度計はマイナス20度を下回っていた。肌に突き刺さる雪、岩に張り付く氷、しかしその厳しさは北八ヶ岳の森や尾根を、冬の芸術品に仕立て上げていた。幻想的なまでの美しさの霧氷、そして登頂した東天狗岳(2640m)からの雲ひとつない大絶景。まさに雲上の一期一会。
そして北八ヶ岳は山小屋の山でもある。2000mを越す山域では珍しく、冬期も営業する山小屋が点在し、登山者たちの重要な基地となっている。しかし冬に山小屋を維持していくのは並大抵ではない。小野寺が、家族で支える山小屋の生活とその思いに触れ、冬の山の知られざる一面を伝える。
今回、冬の北八ヶ岳を案内してくれたのは、山麓に住む加藤美樹さん(42)。番組初の女性ガイドで、なんと元自衛官!最初は「怖いのかな…」とたじろいでいた小野寺との2泊3日は、時間ごとに変わるといっても過言ではない北八ヶ岳の美と、その自然と共に生きる山小屋の人々との出会いの山旅となった。