宮城県と山形県の県境に位置する蔵王山。奥羽連峰の一部を構成するこの山は活火山であり、噴気口や火口湖が多く見られる。またその裾野には温泉が点在し、冬にはスキー、そして「スノーモンスター」として世界的にも名高い樹氷に拠ってその名を轟かせている。
しかしこの蔵王山は冬だけではなく、四季折々の美しい姿に出会う事ができる。東北随一の紅葉の名所としても知られている蔵王は、秋になると山肌は勿論、多数存在する湖沼や滝なども、艶やかな紅葉に彩られる。今回はそんな錦秋の蔵王に足を運ぶ。
今回その絶景に導いてくれるのは、麓の蔵王温泉で3代に渡って旅館を営む伊藤仁さん。樹氷だけに留まらない蔵王の魅力を世に知らしめんと創設された「蔵王山岳インストラクター」第1号の称号を持つ伊藤さんは、蔵王の隅から隅まで知り尽くしたエキスパート。ふるさとの山でもある蔵王を愛してやまない伊藤さんの絶景、それは沢一帯を赤と黄色が埋め尽くす蔵王沢の紅葉。そんな秋の絶景を求めて、蔵王山の懐に足を踏み入れる。