第5回「美ヶ原・春」

 今回は、春を待つ美ヶ原の雪景色とそこから見る絶景をお届けする。

 長野県松本市・上田市・小県郡長和町にまたがる美ヶ原。標高2,008mの王ヶ頭を擁するこの山の山頂は、詩人・尾崎喜八を以て「世界の天井が抜けた」と評された様に、広大な高原が延々と広がっている。夏には牧場が広がる美ヶ原に冬の雪が舞い降りると、そこには雲上の雪原が果てしもないように続く。かつてはその霧の深さから遭難者も出たが、ビーナスライン開通後は、誰もが気軽にこの山を楽しめる様になり、山頂に建つ王ヶ頭ホテルが、極上のリゾートを提供する。
 そして、更なる美ヶ原の醍醐味は、周囲を取り囲む空前の大展望。日本の屋根と称される南・中央・北アルプスに始まり、八ヶ岳や浅間山、富士山に至るまで、日本百名山の内42座もの名峰を一挙に見渡す事ができる。
 今回、そんな絶景へと導いてくれるのは、ガイドの山﨑邦彦さん。幼い頃から山に親しみ、各地の山を登り続けて来た山﨑さん。「楽しくなければ山じゃない」がモットーの山﨑さんと共に、冬の美ヶ原の醍醐味をあますところなくお届けする。