花井祐介特集

#25 2022.05.21 /
#26 2022.05.28

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11名が語るアーティスト・花井祐介

見る人の想像力をかきたてる作品を数多く描く花井祐介さん。海外からの人気も高く、上海で大規模個展を開催。今年の2月には新しいアートの形として注目を集めるNFTに出展。用意した作品1000点が即完売した。また、先日、およそ5年ぶりとなるコレクション展(T&Y Projects Collection『YUSUKE HANAI』)を開催したばかりで、現在アート業界から最も注目されているアーティスト。

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これまでに、アパレルのVANS、BEAMS、バックパックのGREGORY、ネットショッピングサイトのLOHACO、テックアクセサリーのCASETiFYなど、幅広いジャンルのブランドとコラボも行っている。これほどまで私たちを魅了する花井祐介さんとはどんな人物なのか。日々の活躍を近くで見ていた11名にインタビューを敢行した。

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■成瀬一郎さん(surfersオーナー)×ジョージ・カックルさん(ラジオパーソナリティ)

まずは逗子で長年ビーチハウスを経営する成瀬一郎さん(surfersオーナー)とラジオDJやYouTubeで活躍するジョージ・カックルさん(ラジオパーソナリティ)によるお話。花井さんがアートの世界に踏み出した頃を振り返る。

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成瀬さん 1998年の 秋に「The Road and The Sky」というレストランバーをやろうと思って、大工仕事を始めてる時に、(花井さんが)「時間あるから手伝いたいな」なんて言ってくれて、それが(花井)祐介と初めて会った感じかな。 でも、その頃は、絵が突出してどうの、なんて思ってなかったんですよね。もっと自分の潜在的な中にある描きたいものが自然と出てきてる(頃で)…「これ真似してよ」って言っちゃったの俺だから(笑)。

ジョージさん 「The Road and The Sky」のメニューなんか彼が描き始めたでしょ。その時は成瀬の好みのサーファーの漫画を描かせてたのね。

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花井さんは、「成瀬さんが好きなミュージシャンのジャケットのロゴに似せて描いたり、 “こんな絵を描け”と言われたのを描いたんです」と当時を振り返る。

ジョージさん その時もオリジナルっぽく見えたんだよね。ヒューマンがもう出てたよね。

成瀬さん まず看板をまず立てなきゃならなくて、看板の絵は僕の中にイメージがあったんだけど、描ける人いないかな、っていった時に、祐介が「俺、描きたいですね」って言ってくれたのね。で、イメージを伝えてダンボールに下描きして、ペンキを買ってきて、そこに色づけして、彼なりにそれをグラデーションにしたりとか。やれるんじゃないかなっていう自分の中に試したい気持ちがすごく強かったと思うんです。

ジョージさん (当時から)アートセンスあったんだよね。

成瀬さん あったと思いますよね。

この出来事をきっかけに大きな変化が生まれたという花井さん。「毎週のように、ライブやイベントをやっていて、そのフライヤーを僕が毎回描いてて、メニューを新しくするとかも描いてて、それを見てくれた友達のミュージシャンが“俺にも描いてよ”みたいな。頼まれて絵を描くのが楽しくなって、こういう仕事をできたらいいなあと思って」という思いがふくらみ、元々「アメリカに旅行行くのもすごい好きだった」ということもあり、好きなアメリカ・サンフランシスコに住んで、絵の勉強をすることに。

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2003年、美術学校に留学。絵の基礎を学んだのち、2年後に帰国すると、花井さんに大きな転機が訪れる。ユニクロが開催した第1回目のTシャツデザインコンペティションで入賞。 さらに、日本で初めて開催された音楽とアートの融合イベント『グリーンルームフェスティバル』である出会いが待っていた。

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成瀬さん 僕らケータリングで、フードとドリンクの店を出させていただいていたところに、祐介の描いた看板を出して、そこにウィルっていうサンディエゴのアートの関係の方が来て、「これ誰の絵?」って、それで、冗談で「俺俺」って言ってたら、「違うでしょ俺俺」って花井くんが出てきて、すごくそこでその時アンディー・デイビスさんとか来てる中で花井の絵をすごく気に入って、アンディーさんとも仲良くなったりとか。そういう繋がりができて、彼がやりたい絵とか彼を持ってるテイストをすごく評価してもらえたっていうのは、大きな、今のステップに繋がってる。

アンディー・デイビス ▶ カリフォルニアを代表する現代サーフアーティスト

花井さん ラッキーですよね。でも、やっぱり小さいコミュニティです。サーフィンが好きとか、こんな感じの音楽が好きとか、そういうコミュニティの中でうまく育ててもらったというか。同じようなものが好きな人たちが日本に来て、「お前のいいな」っていう共通意識みたいのが多分あって。だから好きなものが一緒で「お前こんな感じだから、こういう人好きだろ」みたいな話になっていくので面白いですよ。

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■桑原健太郎さん(株式会社LOOPSディレクター)×中田慎介さん(株式会社ビームス プロダクト本部メンズカジュアル部・クリエイティブディレクター)

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続いて魅力を語ってくれるのは、現在はファッションとアートに関わる様々な仕事をしているBEAMSでディレクターを務めた桑原健太郎さん(株式会社LOOPS ディレクター)。そして現在、BEAMSで、メンズカジュアル統括ディレクターの 中田慎介さん(株式会社ビームス プロダクト本部メンズカジュアル部・クリエイティブディレクター)。BEAMSと花井さんは10年以上にわたりコラボレーション作品を生み出していて、そもそもの出会いは、驚くべき奇跡だったと花井さんは話す。

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花井さん 桑原さんの前の担当者の人、浜田さんっていう桑原さんと同期の人がいて、BEAMSの人は、そういうカルチャーを掘るのが好きみたいで、僕が「The HAPPENING」というグループショーをカリフォルニア、ニューヨーク、パリ、ロンドンなどでやってたんですよ。僕もそれに参加させてもらって、たくさんのビッグネームアーティストの中に小っちゃくだけ僕の名前が入ったんですけど、それをBEAMSの人が見てたみたいで、連絡くれて、「BEAMSって興味ないですか?」って。BEAMSから話が来るなんて思わないじゃないですか。「ありますあります」って答えて。「じゃあ一緒に仕事しましょうよ」って言われて、そこから10年近く一緒に仕事することになりました。

桑原さん イケメンだっていうのが(花井さんの)第一印象ですね。そこにちょっと圧倒されたというか。その時に花井くんメインのアートショーとかイベントじゃなかったので、それで花井くんもビックリしたと思うんですけど、絵を見せられた時は今と全然タッチが違っていて、色も全然入ってなかったんですよ。より、一般受けしない感じのものを描いていたので、何か個性的な人だね、みたいな絵だね、って感じで。サーフアーティストって言われると多分すごく嫌がると思うんですけど、サーフ系のアーティストだなっていうのが最初の印象でした。

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中田さん ストーリー性のある絵を描く人だなって思って。50年代60年代とかのサーフアートみたいなものをしっかり学んできてるからこそ、アートの落とし方がすごくストーリー性があって、信頼のできるアーティストの方が出てきたんだな、という感じで見た記憶があります。

桑原さん その当時アートって敷居がすごく高くて。BEAMSも「ART FOR EVERY DAY」Tシャツで毎日アートを着よう、みたいな標語をやっていたんですけど、当時僕らがやりとりしてるアーティストって僕らより(歳)上の人で、話すのもすごく気を使ってたんですけど、花井くんぐらいからカジュアルというか、ストリートというか、身近に感じられるアートの先駆者だったのかな、というのはあって、初めて見た時に、これは洋服に落とし込みやすいなと思いました。

そんな中田さん、桑原さんが思う花井さんの絵の魅力とは。

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桑原さん 花井くんの使う色ですね。最初は線だけの絵だったんですけど、どんどん色を使うようになって、その色が原色じゃなくて、何かくすんだ色…スモーキーな色合いがやっぱり代名詞みたいになってきて。それがやっぱりいろんな人にウケたのかなって、そこが作品の魅力。

中田さん 花井くんのスモーキーな色って、BEAMSの中では「花井カラー」ということで共通言語になっていて、「緑系で」とか、「水色系で」とかっていうと、それでなんとなく共通認識ができちゃうというのはすごい。

桑原さん 花井くんが「水色」って言ったら、「ブルーグレー」なんです。プリントの工場とかはもう10何年やってるんで何も言わずに、くすんだ水色で出してくるんですよ。赤も真っ赤じゃなくてくすんだ赤みたいな。 白もオフホワイトみたいな感じで。

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中田さん パタゴニアと花井さんを繋げられた仕事が自分としては一番思い入れがありますね。パタゴニアって本当にコラボレーションを一切しない。鎌倉オーガニック文化を広めようというところのストーリー性から花井くんと、あと鎌倉の農協連の直売所の方とのコラボレーションについていろいろ話し合いを進めていくことによって、お互いの共通した部分の歯車がどんどん合っていって、最終的にそういうコラボレーションができたことはすごく充実感がありました。

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2013年、パタゴニアとBEAMSが毎日採れたての鎌倉野菜を販売している鎌倉市農協連即売所とコラボレーション

パタゴニアとのコラボレーションを成功させるなど、花井さんとの相性が抜群なお二人ではあるものの、桑原さん的に唯一言いづらかったことがあるという。

桑原さん ハッピーな絵って全然描かないんですよ。1回アートショーをやった時も全部後ろを向いていたり、下を見ていたりとか、お酒を持ってるとか、暗い絵ばっかりだったので、その時だけは唯一勇気出して「描き直してくれ」って言いましたね。BEAMSの社長から「ハッピーな絵を描いてくれ」って言われたことあって、それを伝えたらすごい嫌がってましたね。

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桑原さんが言うように、花井さんの絵は「いつも怒っているの?」と捉える人が多いと言われる。そのことについて、花井さん自身は「見る人次第だから、怒ってるの嫌だなと思ったら見なくていいし、ここに自分を映して頑張ろうと思ってくれればそれでもいいし。だから、嘘くさい笑顔の人は嫌だなって思います」と語り、「難しいですよね。言葉で伝えるのは…だから描いてるのかな」と淡々と語る。

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ジョージさん 彼は表面のものじゃなくて、心の中を探って掴んでいくんだよね。だから彼の絵は、「あーっ」て思わせるんだよね。何かをつかんでいく、という話で。

成瀬さん 見た人がそこの何かに対して興味を持って、彼の描いた絵に対してイマジネーションが広がる。馬鹿笑いしてるような絵って少なくて、なんかこう…考えてたりとか。

ジョージさん みんな財布を無くしたみたいな顔をしてんだよね(笑)。寂しそうに下向いて…花井祐介なんだよね。下向いて寂しそうな顔してるのは。

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成瀬さん なんかそこに感銘してくれてるファンの方って…僕もそうなんだけど、その描いてるシーンに惹き込まれて、その絵との親近感が沸いて、そのキャラクターが好きになって、気がついてみると、これもいいし、あれもいいし、って、そういう世界に入っちゃって。作戦だね、あいつの(笑)。

ジョージさん 作戦だね(笑)。でも、彼の絵ってどんどん変わっていったよね。最初は明るい60年代アメリカの…成瀬がきっと押し付けたサーフアートだと思うけど(笑)、そのトーンが変わった時を覚えてるんだよね。大人の絵になったんだよ。ある日、色もキャラクターも花井スタイルっていうのが出てきた時を覚えてるんだよね。

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そして現在のスタイルになった花井さんの絵は海を越える。毎年6月、アメリカの小学校を終業式に訪問し、壁画を描くボランティア活動を行っている。アメリカの子供たちに笑顔や希望を与える存在となった。

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花井さん カリフォルニアの友達でエリックという小学校の先生がいるんですけど、その先生が働いてる小学校がパラマウントという街にあるんですけど、工場地帯であんまり良くない地域というか、普通に遊びに行かない地域。アメリカって国から義務教育として受けられる事業は、国語・算数・理科・社会とか、ベーシックなものだけなんです。美術とか音楽って、お金を払わないと小学生も受けられないんですよ。その(プロジェクトの)第2回から参加してるんです。

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美術のアプローチでこのアメリカでの活動に参加することになった花井さん。途中からは知り合いのアーティストhi-dutch/Takahiro Hidaさんも参加することに。

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■hi-dutch/Takahiro Hidaさん

Hidaさん この活動は参加してるアーティストも大好きなアーティストばかりで、「いいな俺も行きたいな」なんて(花井さんに)言ったら、「行きます?」みたいな感じで気軽に声をかけてくれて、それで僕も最初は花井くんの壁画を手伝う、みたいな感じで行ったんですけど、向こうのアーティストが「お前も描けるだろう」みたいな感じで言ってくれて、そこから描かせてもらうようになったのが7年か8年前。そこからも毎年一緒にカリフォルニアに行って、参加するようになりました。学校でやってるプロジェクトは、小学生に毛糸を集めてもらってダンボールをカットしていろんな形にして毛糸を張って、それをみんなで発表するみたいな形なんですけど、すごく楽しんでくれる子たちがいて、作るものがすごいんですよ。それがもう最高にパワーをもらえるんですよね。

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特別なこのプロジェクトのおかげで子供たちに変化が生まれたと教師であるエリック・カルーソさんは言う。

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■エリック・カルーソさん

エリックさん (花井さんの)壁画は子どもたちに夢を与える原動力になり、壁画以外でもみんなで菜園を作り、自分たちで野菜や花を育てる、植物を育てる大切さを学べる活動も行ってくれました。

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エリックさん この林檎の壁画はお互いに助け合いながら林檎をとっています。社会でみんなが協力して共に働いているというメッセージです。社会では私たちはチームやグループであります。そのことを林檎の壁画から人としてどうあるべきか見て感じて学んでくれていると思います。(花井さんは)常に他の人に共感的で、相手のこと周りにいる人のことを気にかけています。欲がない人です。お金の為に芸術作品を作りません。絵を通して幸せや何かを与えることが出来るチャンスだと思って作品を描いています。自分自身を決して最優先には考えないのです。言葉よりもすぐに行動に移してくれる行動力はすごいです。

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花井さんがこの活動を通して伝えたいこととは。

花井さん 自分も小さなコミュニティで育ててもらって、自分だって元々何者でもなかったものが、そういうコミュニティの中で重宝されて、面白がってくれて、育ててくれたから、他にも…そういうところから、何でもなかったところから、生活するための力をつける人が出てきてくれればいいなと思って、自分が貢献できることをしようとは思ってます。

続いては、花井さんが所属するGALLARY TARGETの代表・水野桂一さん。出会いのお話から。

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■水野桂一さん(GALLARY TARGET代表)

水野さん 出会ったのは 2011年のアートブックフェアなんですけど、そこにうちが出店していて、たまたま横のブースに彼も友達と一緒にお店を出していて、そこで初めてお会いしました。

GALLERY TARGET ▶ 花井祐介・ロッカクアヤコ・KYNEをはじめとした現代美術界において注目アーティストが所属するギャラリー

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TOKYO ART BOOK FAIR ▶ 2009年からスタート。国内外から独創的なアートブックを作る出版社・ギャラリー・アーティストらが年に一度集結するイベント。

花井さん 2017年に個展をやらせてもらって、それから水野さんのお客さんのアートコレクターの方に見てもらえるようになったかな…。その前までも作品はいろいろ買ってもらったりしていたんですけど、アートコレクターの方たちに伝わったのは、その頃からなのかな。

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水野さん 人気は既にあったので、人はたくさん来るだろうし、作品も問題なく売れると思ってたんですけど、キャンバスをしっかり数描く、というのをそこまでやってなかったので、そういう意味で彼も気合いが入ったと思うし、すごく結果は良かったですし、好評でした。
最初に見た時よりは内容もスタイルも変わってるんですけど、ちょっと凄みが出てるというか、厚みが出てるというか。あと、昔から余白がうまく使ってるなっていう気はしてたんですけど、最近 特にそういう感じを受けますね。

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こうして、大きな反響を受け、アートがビジネスになっていっていることに対して、花井さんは何を感じるのかうかがうと、「不思議ですよね。文章の横の説明としての絵がイラストじゃないですか。でも、同じようなタッチでも、誰にも指示されず自分の思いで描くのはアートになって、イラストだと挿絵で1万円とか。でも、(アートの)絵が、何十万円になったりとか。ありがたいとしか言えないですけど、自分の思いを描けるのは、すごく楽しいし、やりがいもあるかな」と素直な思いを語ってくださった。

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一方、花井さんの絵はアジア圏でも人気を集めている。世界での活躍をサポートしているAllRightsReserved Ltd.のSK Lamさんはこう語る。

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■SK Lamさん(AllRightsReserved Ltd.)

SK Lamさん 花井さんはとても面白いアーティストだと思います。作品に登場する人物は自分の知り合いに会っているような感覚になります。そういうチャームポイントが彼の作品がたくさんの人々に愛されている理由だと思います。
彼のNFTプロジェクトは海外で反響が良かったです。これからさらにメタバースに期待を持つと思います。これらは世界中のファンが楽しみにしていますし、期待が高いです。そのうえで、花井さんはすごく良いビジョンを持っています。例えばNFTやメタバースとか、新しい作品にチャレンジしていることで、次に出来上がる作品への期待が高くなっていくと思います。

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■ショコラさん & 片寄明人さん

続いてお話ししてくれるのは、アーティストのショコラ&アキト夫妻。2016年に発売された楽曲『SAKURA』のミュージックビデオを花井さんが制作するなど、親交があるお二人が思う花井祐介像とは。お気に入りの作品をご紹介いただきながら語ってくださった。

片寄さん これはずっと家に飾っているものの一つで。

ショコラさん 花井くんの個展で我々がライブをやらせていただいた時、ギャラとしていただいた絵で(笑)。色が本当に好きで、「これがいい」って言って、いただいてずっと飾ってるね。

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片寄さん これは人物が描かれてないけども、(こちらは)僕らを描いた彼の絵なんだけども、ひどいんですよ(笑)。でも笑っちゃうんだよね。芯をついてるところもあって。あんなに心が優しくて、善人の彼が見てる視点というのがとても面白くて、それが常に彼の作品の中には表れていて、善人な上にでもふざけた人なんですよね。

ショコラさん そう。私はそれを一番言いたい。花井さんは本当にふざけた人。だけど、そこが強さだと思うんですよ。だから何が起こっても大丈夫な人なんだと思う。

片寄さん 時々ダークなことを描いてるな、と思うけども、最終的な感触として重くないし、暗くないっていうのは、彼のそういう精神から来てるのかもしれないね。

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■栗田裕一さん(T&Y Projects代表理事)

ラスト11人目。花井さんの魅力を話してくれるのは、前回、椅子とアートの魅力を語ってくれた栗田裕一さん。栗田さんは開催された花井さんのコレクション展の発起人で、20年来の友人。長年花井さんを見てきた栗田さんが語る作品の魅力とは。

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栗田さん ペインティングのタッチだったり、手法に関しては、多少変わってきてると思うんですけど、アメリカのアンダーグラウンドなカルチャーを表現してる部分というのが僕は好きで、いろいろ見てると、その時々に自分が連想することが必ずしもハッピーじゃないというか、自分が今置かれてる現状と向き合えるような作風が僕はすごい好きだなあと思っていて、イラストレーションでありながらも、僕はアートとしてちゃんと向き合える作品だなと思ってます。

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今回、自身初となる巨大キャンパスで作品を制作した花井さん。作品についてうかがうと、「見た人に任せます。何か言っちゃったら、見る人が 面白くないかなって。絵を見る時とか、作品を見る時に、どういうことなんだろうって考えるのも楽しいじゃないですか。作者がこうだ、って言っちゃったら、それが正解なっちゃうじゃないですか。そうなると見る楽しみが半減しちゃうのかなって」と返す。

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最後に、花井さんの今後の展望は?と問いかけると、「別に そんな有名になりたいわけでもないし、後世に名を残すようなビッグアーティストみたいになろうとも思わないし、なれるとも思わない。それよりも自分がいるコミュニティにどう貢献できるか、それでそこからまた広がって、他の、自分の力でいい方向に何かを変えられることがあるんだったら、力になれるようなことがあればなっていうぐらいです」と、自然体で地に足のついた言葉で静かに語ってくださった。

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出演者

花井祐介