アートフルセレクション 2021
ネクストブレイクアーティスト &
2022日本全国見なきゃ損するアート

#15 2021.12.18 /
#16 2021.12.25

年間を通して目を引いたアートをお届けする特別企画「アートフルセレクション2021」
今回のテーマは<ネクストブレイクアーティスト>

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セレクトしてくれたのは、確かな審美眼を持った美術関係者の方々。

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今回のセレクト対象となるのは、日本国内をベースに活動する若手アーティストたち。

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セレクトに加え、女優の玉城ティナさんに解説してくださるのは、雑誌Casa Brutusのアートコーナーを手がけるライター青野尚子さんと、日本とアメリカを活動の拠点とし、70年代、ニューヨークのストリートで生まれたアートを再解釈した作品で注目される大山エンリコイサムさん。

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大山さんは、「2020年、2021年とコロナの影響で展覧会が延期になったり、開催する期間が短くなってしまったりということが数多くあったので、その中でも注目を集めるアーティストというのは、特に注目度が高い人たちだと言っていいと思うので、セレクトしていてもすごく楽しかったですし、選びがいがあったなと思います」と充実の表情。また、青野さんも「2022年をもっと活躍してくれるんじゃないかなと思う、楽しみな方々ばかりです」と太鼓判を押す。

■ アートか?模倣品か? 長谷川友香さん
1981年、三重県生まれ。2007年多摩美術大学大学院修了

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どこかで見たことある企業ロゴに、どこかで見たことがあるようなキャラクター。ただの模倣品なのか、それともサンプリングなのか。モチーフを本来の姿から切り取ることで、新たな視点を生もうとするアーティスト・長谷川友香さん。

★ 選者 加賀美健さん(アーティスト)
キャラクターや有名人、ブランドなどをモチーフに立体作品、ドローイング、ペインティングなどを発表しているのですが、モチーフがいつも絶妙で素晴らしいです。
アートはその絶妙なセンスがとても大切なんだなと思わせてくれます。次はどんな作品を作るのか楽しみな作家。

■記憶を呼び起こす映像 志村信裕さん
1982年、東京生まれ。武蔵野美術大学大学院映像コース修了。現在、千葉を拠点に活動中。

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映像をあるものへ映し出すことで、見る者の記憶を呼び覚ますような作品を制作する志村信裕さん。例えば、ベンチに投影される光と水の揺らぎ。天井に映し出された海面など、日常にある風景や光を駆使して、非日常を作り出すアートを展開。国内外から期待を集める注目の次世代アーティスト。

★ 選者 鈴木芳雄さん(美術ジャーナリスト)
すでにブレイク済と言われるかもしれないが、美術館での個展はまだ。

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この志村さんの作品について大山さんは、「映像をただスクリーンに映すのではなく、空間の中でどう投影するか、空間全体が一つの作品になっていて、非常に繊細な見せ方をしている」と絶賛。青野さんは、「座っているお客さんの体に映像が映ったり、そこも含めて作品」とそのアプローチを紹介し、「窓枠があってその窓枠の向こうにクラゲが泳いでる作品もあって、自分の家でカーテンを開けたらクラゲがプカプカ泳いでたらいいんじゃないかな」と作品から想いを広げ、玉城さんも「そんな家だったら楽しいですね(笑)」と想像が広がるトークとなった。

■ ただ絵に向き合う 佐藤允さん
1986年、千葉県生まれ。京都造形大学芸術学部情報デザイン学科 先端アートコース卒業

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描くことに意味や理由を求めず、過剰に緻密な絵を描き続ける作家、佐藤允さん。描かれるのはキャンバスだけではなく、身の回りのあらゆるもの。お菓子の箱に描かれたりする。わからないことわからないまま考えていく、圧倒的な熱量がそこにはある。

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★ 選者 大林剛郎さん(株式会社大林組代表取締役会長 国際芸術祭『あいち2022』組織委員会会長)
十分に国際的に通用するアーティストだと思う。とにかくユニークで突出したコンセプトと表現力は評価されるべき。

■太古からの時間を再生するサウンドアーティスト 大和田俊さん
1985年、栃木県生まれ。東京藝術大学大学院 美術研究科先端芸術表現専攻修了。

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サウンドアーティストの大和田俊さん。音響と人の体や知覚、そして環境との関わりに関心を持ち、作品を制作、その代表作の一つが「uneearth」シリーズ。化石(石灰岩)を天井から落ちる酸で溶かし、発生する音を知覚できるという仕組み。二酸化炭素とともに小さな気泡の音を発生させるその音がアートになるという稀有な体験が生まれる。化石が積み重ねた3億年近い時間を再生しようという作品。

★ 選者 大山エンリコイサムさん(アーティスト)
積極的に活動するサウンドアーティスト。聴覚や事物に対する独自の視点に基づいている。

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「あんなにパチパチと聞こえるんですね。目を閉じて聞くと、本当にそれがリズムというか、音楽になって届いてくるので不思議」と玉城さん。「東日本大震災があった時に、自然の力や脅威みたいなものを感じて、日本のアーティストはダイレクトに社会的なメッセージ性やアクションを起こした人たちも多くて、それはすごく意味のあることなんですけど、大和田さんの場合はそういうダイレクトなメッセージというより、自然のオブジェクトとか時間を、作品を通して表現するというのが、また別のアプローチだったんじゃないかなって思いますね」と大山さん。

■ 建造物をトランスフォーム 持田敦子さん
1989年、東京生まれ。東京藝術大学大学院 先端芸術表現専攻修了。

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世界各地で製作を行うアーティスト・持田敦子さん。その作品はもはや建築の規模であり、中でも住宅の一部を円形にカットし、回転できるように再構築した「T家の転回」は発表当時SNSでも大きな話題となった。

★ 選者 青野尚子さん(ライター)
家を切り取って回転させる、家を半分切り取ってずらすといった、力技な作品を作っています。家という「個人」と「公共」が交わる領域に興味を持っているようです。

■ 共作相手は生き物!? AKI INOMATAさん
1983年、東京生まれ。東京藝術大学大学院 美術研究科先端芸術表現専攻修了。

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3Dプリンタ製の「宿」をヤドカリに渡し、引っ越す様子を観察する…そんなプロジェクトを行っているAKI INOMATAさん。この「やどかりに『やど』をわたしてみる」など、共作相手はヤドカリ、ミノムシ、ビーバー、貝…。海外でも高く評価される現代アーティスト。

★ 選者 長谷川祐子さん(金沢21世紀美術館 館長)
やどかりのための家をデザインしたり、ビーバーのかじった木を彫刻にしたり、真珠貝との協働により比喩的な貨幣をつくるなど、複数の生物種との共生をポエティックに表現。新しいエコロジーを視覚化している。

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★ 選者 鈴木芳雄さん(美術ジャーナリスト)
動物を作品の重要なモティーフにしている点で親しみやすいが、現代社会が直面する課題や人間の営み、世界の動向にまで問題意識を展開している。

このAKI INOMATAさんはスタジオに登場。お持ちくださったのは、動物園に木を置かせてもらい、そのビーバーにかじってもらったという作品「彫刻のつくりかた」。INOMATAさんは、「作った人は誰なんだろう、ということを考えていく作品」と話す。作者は企画したINOMATAさんなのか、それとも木をかじったビーバーなのか、それとも、かじらせた木なのか、そんな作者が議論となる不思議なアートだ。

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また、大山さんは、この誰が作者なのか、という点に加え、「そもそも“作る”ということが何なのか。ビーバーやミノムシたちは、“作る”つもりでかじったりしてるわけではないんだけど、そこにINOMATAさんが作品の枠みたいなものを与えることで“作る”ことにもなるし、“作る”と“作らない”の揺らぎみたいなものが、作品の周辺にあるような気がして。すごい面白いなと思ってます」と、作品が与えてくれる問いに注目する。

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そんなINOMATAさんの世界的評価へのターニングポイントとなったのは、やはりヤドカリとの共作だったという。「元々はフランス大使館の展覧会に出すためにフランスと日本を行ったり来たりするというイメージだったんです。(大使館の権利が)日本からフランスになって、フランスから60年経ったらまた日本に返される、というお話を聞いて、国が平和に入れ替わっていくというのがすごく不思議だなと思ったんです。それをあのヤドカリに見立ててやってみたのが最初で、ヤドカリにパリと東京の宿を作ってあげて行ったり来たりしてもらう、というのが最初のきっかけです」と作品の端緒を話す。

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2022年は、ニューヨーク近代美術館(MoMA)に、INOMATAさんのタコとの共作アート「進化への考察 #1: 菊石(アンモナイト)」が収蔵される。「やっぱり2021年はニューヨーク近代美術館でのグループ展とか、今も台湾の国立台湾美術館でグループ展参加しているんですけど、どれも渡航することができなくてリモートになってしまったんです。なので2022年こそは海外で大規模に展示ができるといいなというふうに思っています」と新たな年への思いを語った。

■ クリエイターにして評論家 小田原のどかさん
1985年宮城県生まれ。多摩美術大学美術彫刻学科卒業。彫刻家・彫刻研究・評論家・版元経営。

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彫刻家でありながら、評論家として本も出版する小田原のどかさん。代表作は矢印型のネオンサインが床を突き刺しているもの。実はこちら、戦後2年間だけ、長崎県松山町に突き刺さっていた原爆落下中心地に置かれていた矢印をネオン管で再現した作品。

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★ 選者 大山エンリコイサムさん (アーティスト)
実制作者(彫刻家)でありながら、批評や彫刻史の研究など、理論的な仕事も旺盛に手がける新進気鋭のアーティスト。秋に初の単著『近代を彫刻/超克する』(講談社より発売中)を発表、年末には同じタイトルの個展を開催予定とのことで、注目したい。

さらに大山さんは「本来アーティストって思想家的な側面があるはずで、昔のアーティストだと随筆や文章を書く人がたくさんいたんですけれど、現代美術になると批評家という言葉の専門家もいて、特に日本はアーティストが自ら言葉をもって語ることが比較的少ない中で小田原さんはアクティブに活動していて注目に値する」とアーティストと言語の観点からの解説も加えた。

小田原のどか 個展『近代を彫刻/超克(ちょうこく)する-雪国青森編』
会期: 2021年12月25日(土)~2022年2月13日(日)
会場: 国際芸術センター青森[ACAC]

■ 黒色の表現者 熊谷亜莉沙さん
1991年大阪生まれ。京都造形芸術大学大学院修了。

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圧倒的な画力で描かれたモチーフと、吸い込まれるような背景の黒色。そんな作品を制作しているのが熊谷ありささん。

★ 選者 大林剛郎さん(株式会社大林組代表取締役会長 国際芸術祭『あいち2022』組織委員会会長)
学生時代から注目している。表現力もさることながら、作品のストーリー、コンセプトに迫力がある。海外にもファンが存在。

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「生活歴みたいなものがすごく作品に反映されてる方。幸福と不幸だったり、富と貧しさだったり、正反対に見えるものが背中合わせになってる」と青野さん。玉城さんは、「黒色の力がすごくて本当に引き込まれてしまいそう」と作品が持つ力を率直に語った。

■ 粘土で作る抽象画 大野晶さん
1990年ドイツ生まれ、多摩美術大学卒業。

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絵の具を一切使わずに様々な種類の粘土を用いた作品を制作するアーティスト・大野晶さん。抽象画とも彫刻とも受け取れる不思議な年度作品を作り続けている。

★ 選者 加賀美健さん(アーティスト)
彼女の作るアブストラクトな立体作品はサイズがそんなに大きくないのに見た瞬間になんとも言えない衝撃が走るのと同時に所有力が湧いてきます。とても不思議で素敵な作品です。

■ 3.11が生んだ劇薬アーティスト 毒山凡太朗さん
1984年、福島県生まれ。2011年3月11日に起きた東日本大震災と福島第一原発事故をきっかけに活動開始。

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福島県出身、2011年の東日本大震災をきっかけにアーティストになった毒山凡太朗さん。『あっち』(2015)という映像作品は、仮設住宅在住者が福島の地方紙を自らの手で加工し、真っ白なお面に貼り付け、故郷の方向を指差すというもの。

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★ 選者 卯城竜太さん(Chim↑Pom)
若手作家のなかでは最も軽やかに挑発的に社会問題を扱っている。太平洋戦争や原発などテーマは重いが、福島出身という当事者性や、独自のユーモアやコミュニケーション能力で、それを解放しているように見える。そのローカルな作風が逆説的に最もインターナショナルな作家に見えるようで、彼が海外で仕事を始めたら、その政治性は様々な展覧会で通用するのでは。

■ TARO賞グランプリ 檜皮一彦さん
大阪生まれ。京都造形芸術大学大学院 芸術研究科芸術専攻修了。

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「岡本太郎現代芸術大賞」(通称TARO賞)のグランプリにも輝いた気鋭のアーティスト檜皮一彦さん。主に取り組むのは、車椅子を使用したインスタレーション作品。生まれつき四肢に障害がある檜皮さんにとって、車椅子は生活の一部であり体の一部。近年、強烈なインパクトと存在感を放つアーティストの1人。

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★ 選者 青野尚子(ライター)
四肢欠損という自身の身体的特徴をさらけ出す、車椅子によるオブジェや自身が登場する映像作品を制作。“支配・被支配”の関係性など、多様な読みを誘う仕掛けがあります。

玉城さんが思わず「スケールも大きい、サイズも大きい」と声をあげる檜皮さんの作品。青野さんは「車椅子って、特に子どもの車椅子はすぐサイズが合わなくなって、交換してくそう。その交換した車椅子を集めたりして、大きなインスタレーションを作ったりしてるんですけど、つい気になって見てしまう作家さんです」と解説した。

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この<ネクストブレイクアーティスト>を見てきて、大山さんは、「いろいろな作品を改めて見て、絵画、彫刻はもちろんのこと、映像や建築、パフォーマンスやサウンドなど、改めて現代美術の多様性、いろんなメディアを使っていろんな表現があるんだなというのを感じました。今って、価値観が画一化されてきてるような時代と言われることもありますけど、美術の多様な表現に改めてすごく可能性を感じました」と全体を振り返った。

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最後のブロックは、<見なきゃ損するアート>と題して、博物館や寺社仏閣、そこに行けば見ることができるアートスポットの紹介へ。
数多くの芸術祭を手がける北川フラムさんにも参加していただき、2022年、見てもらいたいアートを取り上げる。

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北川フラムさん(アートディレクター)
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」「瀬戸内国際芸術祭」「北アルプス国際芸術祭」などで総合ディレクターを務める。

■ 怒りのサンタクロース
東京・立川

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東京・立川にあるドイツの芸術家・Martin Kippenbergerによる作品『怒りのサンタクロース』。ゲストの北川フラムさんが監修した「アートの街・ファーレ立川」に置かれたアートの一つ。現代文明とその中で生き、汚れてしまったと考える自身への批判を「悪い子(アーティスト自身)を叱るサンタクロース」として造形した作品。

マーティン・キッペンベルガー ▶ 1953-1997 ドイツ生まれ。
戦後ドイツで最も影響力のある作家のひとり。さまざまなメディアを駆使し、多彩で夥しい数の作品を生み出した。

■ 本当に日本!?フォトジェニックトンネル
新潟・十日町

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名所であった清津峡トンネルを「大地の芸術祭 越後妻有(えちごつまり)アートトリエンナーレ」において改修/制作したスポット。手がけたのは、中国の建築家・マ・ヤンソンさん。全長750mのトンネルを潜水艦に見立て、見晴らし所を「外を望む羨望鏡」として見せた。その幻想的な空間は注目のインスタ映えスポットで、芸術祭後も多くの来場者を呼んでいる。計画した北川さんご自身が「僕もビックリしている」と話すほどの人気スポットに。

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この2000年に始まった「大地の芸術祭 越後詰妻有アートトリエンナーレ」以降、現在では、日本各地で様々な芸術祭が行われ、その後、人気のアートスポットになることも。

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例えば、「瀬戸内国際芸術祭2019」で制作され、その後カフェとなった「ジョルジュギャラリー」。フランスの芸術家、ジョルジュ・ルースが制作で使った現場をそのまま保存し、いつでも見られるようになっている。

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さらに大分県国東半島には、山道を登って行かないと見られない絶景アートが存在。それがイギリスの彫刻家、アントニー・ゴームリーによる《ANOTHER TIME XX》。作者アントニー・ゴームリーの等身大の彫刻で、無垢の鉄でできているため錆び、絶えず変化している。「何十年か、何百年かするとなくなっちゃうかもしれないものだが、それは作家の意図」だと青野さんは解説する。

■ 集結!最強アートホテル
群馬・前橋

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2020年、アートホテルとして再生オープンした群馬県前橋市の「白井屋ホテル」も注目のアートスポット。このホテルが、訪問客を迎え入れるフロントには、世界的現代美術作家・杉本博司さんの作品『海景』。さらに中に入ると、館内にはアルゼンチン出身の現代アーティストによる光のインスタレーションアート(『Lightning Pies』)が。その他にも多くの芸術作品に囲まれて過ごすことができる今話題のアートスポットとなっている。

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「白井屋ホテル」は、2008年に廃業。メガネブランドの「JINS」の代表取締役CEO・田中仁さんが、故郷である群馬県や前橋市の地域活性化のため、個人財団を設立し、ホテルを再生したもの。
北川さんによるとこうしたアートホテルは、「ここまで大胆にやってるかどうかは別にして、良いアートが客室やロビーにあるというのは、大きな流れとしてはあります」とのこと。例えば、第1回「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」で完成したジェームズ・タレルの『光の館』は、その後まるごとホテルとして使われているという

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■ チャンスは年にたった2日
大阪・河内長野

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大阪「観心寺」に収蔵されている国宝の仏像「秘仏 如意輪観音菩薩像」。平安時代の最高傑作とも言われるもので、年にわずか2日間(毎年4月17日、18日)しかご開帳されない貴重な仏像。

わずか2日しか見ることができない、ともいえるが北川さんは、「すごく厳かなんだけど、ものすごく官能的な仏様。感動的な作品。これが1年に2度見れるっていうのは知らなかったけれども、そんなに見れるとはすごいな」とコメント。

そんななかなか見ることができない貴重な国宝。実は2022年、上野にある東京国立博物館で一挙89点を展示する国宝展が開催される予定。

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東京国立博物館
創立150周年を記念し、国宝89点全てを展示する特別展開催。
会期: 2022年10月18日~12月11日

「これが何でありがたいかというと日本美術というのは、傷みやすいのでいつもあるってわけじゃないんですね。例えば1年で30日しか展示しちゃいけませんとか、半年しか見せちゃいけませんという決まりもあったりして、こういうものが一挙に揃う展示というのは、この次の機会はないかもしれない、という展覧会です」と青野さん。その青野さんがセレクトする<見なきゃ損するアート>を最後に紹介。

■ 見なきゃ損するアートin東京国立博物館

長谷川等伯「松林図屏風」
豊臣秀吉、千利休らに気に入られていた安土桃山時代の巨匠・長谷川等伯の屏風。

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長谷川等伯(1539-1610)
能登出身(現在の石川県)、桃山時代に活躍した絵師。豊臣秀吉、千利休らに重用されたといわれている。
国宝 松林図屏風 安土桃山時代・16世紀 東京国立博物館蔵本館2室にて、2022年1月2日から1月16日まで展示

2021年を振り返り、2022年の展望もみつめた「アートフルセレクション」4回を終え、「たくさん、この珍しい作品が日本で見られるっていうのはわからなかったのですごく勉強になりました」と玉城さん。
「このご時世でなかなか外出しにくい、遠くに行きにくいというのはあるんですけど、ちょっと規制が緩くなったので、あっちこっち行くようになって実際にアートを見るというのは違うなというふうに思います」と青野さん。実際に見る、ということに新たな価値と意味が生まれる時代。2022年もアートの冒険は続く――。

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出演者

玉城ティナ
青野尚子
大山エンリコイサム
AKI INOMATA
北川フラム