アートフルセレクション 2021
総勢9組 このアートが熱かった!

#13 2021.11.20 /
#14 2021.11.27

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2021年、特に目を引いたアーティストや、ネクストブレイクアーティスト、今チェックしたいアートを紹介していく<2021年このアートが熱かった!>。セレクションに携わったのは7名の美術関係者。

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そのセレクションを元に、女優・玉城ティナさん、雑誌Casa BRUTUSのアートコーナーを務める美術に詳しいライター青野尚子さん、さらに、アパレルブランドとのコラボも多い異色の現代アーティスト・加賀美健さんの3人で、2021年のアートを振り返る。

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ライター・青野尚子さん
「Casa BRUTUS」「Pen」「VOGUE JAPAN」などで執筆。

アーティスト・加賀美健さん
国内外を問わず多くの美術展に参加。アパレルブランドとのコラボレーションにも多数。

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まず、取り上げるのは、2021年、日本国内で展示や個展を開催した存命の現役アーティストたち。

■ 88歳の現役アーティスト 三島喜美代

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世界各地で活躍する70代以上の現役女性アーティストを紹介する展覧会『アナザーエナジー展 挑戦し続ける力-世界の女性アーティスト16人-』の中で、特にインパクトを残していたのが、三島喜美代さん。とりわけ、陶器によってつくられた膨大な新聞や雑誌の山《作品92-N》は、多くの来場者の目を惹きつけた。

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すぐに割れてしまう陶器を使用することで、「大量消費社会」や「情報化社会」に対する危機感や不安感を表現している。三島さんご自身は、「ゴミばっかり作ってます」とおっしゃるそうだが、常に面白いものに精力的に挑戦しており、88歳にして世界から一段と注目度が高まっているアーティストだ。

★ 選者 大林剛郎さん(株式会社大林組代表取締役会長 国際美術祭「あいち2022」組織委員会会長)
88歳のいまも制作意欲フル回転で頑張ってます。陶芸というより現代美術の文脈で評価されてきたのが嬉しい。

■ 空に浮かぶ謎の巨大な顔! 目[mé]

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玉城さんも「これネットで写真上がってました」と語るように、多くの人がSNSなどで目にした「巨大な顔」。2021年の夏、東京上空に突如現れた。
話題となったこのプロジェクト「まさゆめ」を手がけたのは、現代アートチーム、目[mé]。巨大な顔の正体は、1000人以上の応募から選ばれた実存する顔だという。浮かんでいたのは自分の顔だったかもしれない、そんなアート体験を提示した。

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★ 選者 鈴木芳雄さん(美術ジャーナリスト)
メンバーの荒神明香が中学生の頃に見た夢をもとに、その不条理をリアルの世界に実現したこと。「巨大な顔を空に上げる理由」を放棄して、「合理性や理由から一瞬だけでも解放され、何にも捉われずにただ存在できるような光景」をつくるという見事な現代美術。

■ 身の回りを凝視する「絵画」 佐々木健

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2021年、自身の祖父母がかつて住んでいた家で個展を開いたのがアーティストの佐々木健さん。障害を持つ兄との関連作を出発点に、「相模原障害者施設殺傷事件」への自らの視点を軸に構成。事件からの日々を思考する、記録媒体としての「絵画」をかつて兄弟の祖父母が暮らした家で展示した。

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★ 選者 加賀美健さん(アーティスト)
モチーフの選び方がとても面白いです。絵がとても上手な人は技術が先行してしまい、描くモチーフがあまり面白くないパターンがあるのですが、彼の絵はどこか物悲しい空気を感じつつユーモアがあって、素晴らしい作品です。

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加賀美さん 渋谷ヒカリエの展示で、“雑巾”のペインティングがあるんですけど、それを見たときのインパクトはずっと離れなくて。すごくだだっ広いところに、彼の絵が1個あるだけでも、それだけで成立するような、強さがある。特に雑巾のあり方についてですけど…。

青野さん 雑巾、普通描かないですよね。

玉城さん なんで雑巾を選んだんだろうなって思いますね。

ということで、ここでは、ユニークなモチーフ選びで異彩を放つアーティスト・佐々木健さんをスタジオにお迎えし、作品について…特にあの“雑巾の絵”について語り合う。

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加賀美さん 絵の具で雑巾っぽくしてるんですね。

佐々木さん 細い筆です。絵の具をくっつけて、立体的に盛り上げてモデリングしている。そこに透明の色味を載せていくという技法としては非常にクラシックな西洋絵画の技法で描いているものです。

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玉城さん (作品を観ながら)雑巾の縫い目っぽいところまで表現されている。

加賀美さん 細かいよね。初めて見た時ビックリしたんですよ。最初なんだかよくわからなくて。

佐々木さん たまに本当の雑巾とわからなくて。親が観に来たときも唖然としたらしいです。普通に雑巾がかかっているそう思っちゃう人もいますし(笑)。

加賀美さん 雑巾を固めてると思うもんね。

佐々木さん これは私が学校を出て、お子さんに絵画教室で教えてて、非常に疲れてた時に、そこにお子さんの絵があって、その傍らに、絵の具でぐちゃぐちゃになった雑巾が置かれていて。それが私の人生を見ているような…。

玉城さん それぐらい疲れ切っていらっしゃった(笑)。

佐々木さん 疲れていたのと同時に、その時期って2011年、12年ぐらいで、震災があって、関東の上のほうだったので、すごい(放射)線量が高いみたいな状態で教室をやっていて、非常に不安な中で…。この絵はシルバーホワイトというルーベンスさんやドラクロワさんなど、印象派の画家たちが使っていた油絵の具なんですけど、非常に毒性が強くてですね、鉛なので。放射能を通さないみたいな性質はあったりして、絵というのは視覚的なものですけど、物質はいろいろ体に(影響を)及ぼすものみたいな…今で言ったらウイルスとか…要は視覚に現れないものが今の時代の絵画なんじゃないか、という思いも一つにありました。

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加賀美さん なんかね、すごく哀愁があるものが好きなんですよ。お笑いも歌も人も。ササケンくん(佐々木健さん)の作品って、すごく哀愁があって、なんていうか“夕方”なんですよね。年齢的なものもあるのかな、って…。

玉城さん でも、私も哀愁がある作品好きです。

加賀美さん 哀愁あるといいですよね。

玉城さん はい。年代関係ないと思います(笑)。

そんな佐々木健さんの制作の大きなきっかけとなったのは2016年に神奈川県で起きた障害者施設での殺傷事件。「それをTwitterのタイムラインで見たときに、まだ情報がそんなになかったので、本当にビックリして、本当に兄が殺された可能性があった、というショックが…これはちょっとやらなければいけないという思いで、立ち上げた」という。

佐々木健「合流点」
会期: 2021年7月31日(土)~11月28日(日) 金、土、日のみ開場。
時間: 11:00~18:00
会場: 五味家(The Kamakura Project)

■ アメリカ現代美術の最前線 Roni Horn

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箱根のポーラ美術館で開かれた日本初の大規模個展が話題となったアーティスト、Roni Horn。作品の多くは自然をモチーフに、アイスランドに定期的に滞在し、つくられてきたもの。代表作の一つ「あなたは天気 パート2」は、アイスランドの温泉で6週間にわたり一人の人物の表情を追った写真作品で、一見同じように見えているものの、その変化する表情を天気になぞらえている。

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★ 選者 大林剛郎さん(株式会社大林組代表取締役会長 国際美術祭「あいち2022」組織委員会会長)
Roni Hornの素晴らしい作品の数々を“箱根”で見られるのは至福のひととき。現代美術の最前線を体感できるまたとない機会となっています。

Roni Horn ▶ 1955年、ニューヨーク生まれ。写真・彫刻・ドローイングなど、多様なメディアで制作。イギリス「テート・モダン」、アメリカ「ホイットニー美術館」で個展。現代美術シーン最前線の存在。

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ロニ・ホーン: 水の中にあなたを見るとき、あなたの中に水を感じる?
会期: 2021年9月18日(土)~2022年3月30日(水)
会場: ポーラ美術館

玉城さん 私、Roni Hornさんの作品がすごく女性の方の視点だなって感じましたし、ポーラ美術館との相性がすごく良さそうだなと思いました。

青野さん Roni Hornさんって、常に変化してくるもの、移ろっていくものに興味があって、水という言葉が展覧会のタイトルにも入ってるんですけど、水って形が一定しないですよね。氷になったり、気体になったりもするし、そういったところにすごく興味があるみたいです。

加賀美さん あの作品(『あなたは天気 パート2』)、あのイメージしかないですね。

青野さん 『方丈記』の“ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず”というフレーズを思い出させます。共通するものがあるんじゃないかなと思います。

■ メディアアートの雄 真鍋大度

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Perfumeやリオ2016大会閉会式、東京2020のフラッグハンドオーバーセレモニーの映像演出でも知られる日本のメディアアートをけん引する存在、真鍋大度さん。2021年は今話題になっているNFTアートの領域にも進出、さらに挑戦の幅を広げている。

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★ 選者 長谷川祐子さん(金沢21世紀美術館 館長)
プログラマーでありメディアアーティストとして、デジタルとヴァーチャル、アナログとフィジカルの間にある私たちの分断された感覚を繋げ、より豊かな第3の身体性に導いてくれる作品をつくる。エンタメから鋭い文明批評まで関心の領域が広い。

■ 日本美術界のトリックスター 会田誠

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この国の現代美術を代表するアーティスト会田誠さん。平面~立体~パフォーマンスと、縦横無尽に作品を発表し続ける21世紀の日本美術界<最大の存在>。

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★ 選者 鈴木芳雄(美術ジャーナリスト)
今年はパビリオン・トウキョウ2021で《東京城》を発表したり、所属ギャラリーでの展覧会や大田区龍子美術館で以前の名作《紐育空爆之図》を久しぶりに展示。「Reborn Art Festival」(宮城県)に《考えない人》など話題となった。

■ コロナ下・アートの怒り 河口龍夫

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今年コロナ下において制作された新作だけを集めた個展を開催した巨匠アーティスト・河口龍夫さん。1960年代から活動する河口さんが求めたテーマの一つが、「時間」と「物質」の関係。《切断》2020という、斜めにぶった切られた作品は、コロナで展覧会がなくなり、見られることがなくなった「作品自体の怒り」を表現。切断面は銅で覆われ、時間経過で酸化することによって作品がどんどん変化していく、<切断>からさらに始まる<時間>を表現したというものだった。

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★ 選者 大山エンリコイサムさん
小さい展示ながらも実に見応えがあり、普遍性と現代性を兼ね備えた独自の仕事に感銘を受けた。

河口龍夫 ▶ 1960年代から活動。鉄・銅・鉛などの金属、化石や貝、直物の趣旨などを用いながら多くの作品を制作。

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青野さん このパワーがその時で80歳。すごい若いなと思います。

加賀美さん 最後の切ってるやつ(《切断》)。コロナ下でできなくなった怒りを、って。好きですね。

玉城さん 怒りを感じますね。

加賀美さん あれを床に叩きつけて割った、だったら全然面白くない。はじを切ってるっていうのがさすがですよね。

青野さん そこがかえって迫力あるというか。

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「Artist Voice: 河口達夫 無呼吸」
会期: 2021年4月19日(月)~7月30日(金)
会場: 慶應義塾大学アート・センター

■ 世界中で巨大物体を引き興すアート!? 加藤翼
2021年、自身初の美術館個展を行い、話題を呼んだのが加藤翼さん。その代表作が、集まった人々が知恵を絞り、ロープと人力だけで巨大な構造を引き興したり、引き倒したりする「Pull and Raise」シリーズ。縄を使った共同作業から人間の可能性を問いかける注目のアーティスト。

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★ 選者 卯城竜太さん(Chim↑Pom)
若干37歳でここまで充実した美術館の回顧展を作れるアーティストは日本では加藤翼のみだろう。国際的に出ていくのがどうしても苦手な日本人アーティストが多いなか、彼は群を抜いてその行動力が優れてる。

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「綱張りと島」加藤翼
会期: 2021年7月17日(土)~9月20日(月)
会場: 東京オペラシティ アートギャラリー

玉城さん 加藤翼さんの縄で動かすっていうのは、古代の人たちがやってたこと。

青野さん ピラミッドを作るとき、石を引っ張ってきました的な。アートに関係のない方、作家じゃない方がいっぱい加わって、たくさんの人がいないとできないので。それがすごいなと思ってます。

加賀美さん 「せーの!」という声がいいですよね(笑)。

青野さん 楽しそうですね。

加賀美さん あんまり「せーの!」って言わないですよね、生きてて。小学校以来ですよね。その辺はにやにやしちゃいました。

青野さん 最初、加藤さんは「引き倒し」って言って倒す方をメインにされていたんですけど、東日本大震災のときに「引き倒し」が出来ないなとご自分で思われたんですって。そこから倒れているものをみんなで「引き興す」っていう風に変わっていったみたいですね。

■ 一軒家に生態系を再現!? 渡辺志桜里
一軒家のギャラリーで各部屋のバラバラに置かれたプランターや水槽。そんな一風変わった個展を開いたのは渡辺志桜里さん。それぞれの部屋には魚、そして、バクテリアなど…。実はそれら全てがホースで繋がれており、水を循環させることで自動の生態系を作っている。

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★ 選者 卯城竜太さん(Chim↑Pom)
コロナによりグローバリズムへの懐疑が始まったいま、国や人間のみを前提としたネットワークではなく、菌や動植物、水や石なども含めた「惑星的」なネットワークへのアプローチがアートの次のテーマのひとつであることを示している作家。来年の活躍次第では、国際的なスター作家として成長し得るアーティストになるのではないか。

この渡辺志桜里さん、そして先ほどの加藤翼さんを選出したのは、世界で活躍するアーティスト集団「Chim↑Pom」のリーダー卯城竜太さん。今回は特別にこの3人にお集まりいただき、創作について語り合っていただいた。

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――卯城さんがお二人を選んだ理由は?

卯城さん お二人ともこれから先、世界的に活躍し得るポテンシャルを持っていて、そして新しいことをやっているという、そういうタイプだなと思って選出しました。

――巨大な物を引き興し、引き倒すプロジェクトを世界各地で行ってきた加藤さん。そもそもなぜこんなことを思いついたのでしょうか?

加藤さん もともと絵を描くというのは、スタジオの中で一人で絵と向き合って作ってくわけで、パーソナルなものですけど、同時に、展示するときはパブリックになるという、そういうギャップがあるんですけど、そのギャップに対して、懐疑的になったときがあって、もっと制作のところから外に出て、自分一人だけじゃない方法で完成させられるような作品を…と考えて、というのが始まりだったんです。

渡辺さん (加藤さんの展覧会で)昔の作品を観て、逆に納得するものがありました。

卯城さん (加藤さんの作品の)原点の中の原点みたいなところに、インドネシアで入江に詰まっちゃったクジラをみんなで引っ張っている映像があるんですけど、それは渡辺志桜里さんのやっていることにもなんとなくリンクしてて…。

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捕鯨が有名なインドネシア・ラマレラで村人たちがクジラを引き上げるということに参加したことが加藤さんにとって大きな出来事だったという。

卯城さん 翼くんの場合、やっぱりグローバルな感覚がすごくあって、社会が繋がった感じなんですけど、志桜里さんの場合、ちょっと「惑星的」というか、生態系とかのほうで繋がっていくような感じなんですよね。でも、根本に持っているものはすごく似ているんじゃないかと思います。

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渡辺さんが作り出すのは、「自動の生態系」。今年の展示では、ギャラリー一棟を丸ごと使った大規模なものとなった。

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渡辺志桜里 個展「ベベ」
会期: 2021年5月30日(日)~6月20日(日)
会場: WHITEHOUSE

加藤さん 水の音が展示の音だったりだとか、コースの順路になっていたり、光が照明になってたり、すごくインスタレーションの構成に必要なものが目的と一致してる形でプレゼンテーションされていて、インスタレーションとしてすごいなって思いました。

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電気が続く限り永遠に循環を繰り返す渡辺さんの作品。そこには育った環境が少なからず影響しているという。

卯城さん 一つの生態系としてモデルになっているものがあって、それが皇居なんですよね。ご自身が皇居の真横で生まれ育ったということで、そういう都心に育ってるんだけど、入れないじゃないですか。間近に、立ち入れない大自然があるっていうところへの違和感などから、この作品は始まっていて、こういう規模の大きい作品なのに、すごくプライベートな身体感、リアリティがあるんですよね。

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――2021年キャリア史上最も大きな展示を行った二人のアーティスト。コロナ禍は、気持ちや作品に変化を及ぼしたのでしょうか?

渡辺さん 私には別にないんですけど、なるようになるかなと思ってます(笑)。

卯城さん でも、渡辺さんの作品を観る側の意識は確実に変わりましたよね。…例えば、手を消毒したりとかするっていうことで、菌への捉え方とか、手には常在菌があって、どこからどこまでが自分の輪郭か…とか。

加藤さん 引き興し/引き倒しは「密」なので、ソーシャルディスタンスとか、ロープは人同士を繋ぐ作品もあったりして、人と人の距離、コミュニティとか、そういう見え方はちょっと変わってるとは思います。

卯城さん 2020年、2021年とものすごく質の高い若手たちによる、規模は小さくても良い展覧会が、すごく増えたんですよ。僕はずっと見てきた日本のアートシーンの中でもずば抜けて質が高い年だったんですよね。それはやっぱり(コロナは)影響してるんだと思います。

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<2021年、このアートが熱かった!>と題して、総勢9名のアーティストの方を見てきた今回の『アートフルワールド』。再び、玉城さん、青野さん、加賀美さんに全体を振り返っていただく。

青野さん やっぱりRoni Hornかなと思います。(『あなたは天気 パート2』は)人間同じように見えても日々刻々と違うんだというのがよくわかるんです。この人の作品を観られてよかったなと思いました。

加賀美さん 河口(龍夫)さんが切ったやつ(「《切断》2020」)がインパクトありましたね。若い子が表現するより、あの巨匠の方がすると。

青野さん 今までいろいろ長い間生きてこられてすごく苦労もあったと思うと、その方がそれだけ静かな怒りを表明されてるっていうのが、私たちも受け止めなきゃいけないものがあるなというふうに思いますね。

玉城さん 今後、期待することは?

加賀美さん アーティストじゃないんですけど、この前デパートの催事場で志村けんさんの展示をやってたんですよ。多分アート関連の人は全く変わってないと思うんですけど、すごくカッコよくて。

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おばあちゃんのおっぱいが伸びたやつとかがガラスの中の展示で美術館みたいに並んできてたり、おばあちゃんの衣装とかが楽屋のパイプ椅子みたいなのところにあったり。僕はあれを美術館でやってほしいなと思ってて。ちょっとキュレーターを入れて美術の文脈で誰かも見せたらカッコいいな、なんて思いながらブツブツ言いながら見てました。志村けんさん展をやってほしいです。でっかいところ…東京現代美術館とかで。

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青野さん 2022年、ゲルハルト・リヒターの大きい個展が開催されることが決まっていて。ドイツを代表する現代美術の巨匠なんですけど、正直何を描いているのかよくわからないところがあって、何がコンセプトなのかもう一つはっきりしないところが、きっとまた観ると謎が深まるんだろうなと思いつつ…。

加賀美さん リヒターの作品って批評家の方でも分からないんですか?

青野さん すごく面白いリヒターの自伝的な映画が公開されたんですが、どこまでがフィクションでどこまでが本当かっていうことを言わないでねっていう約束なんですって。やはり自分からいろいろ語る方ではないので、すごく気になりますね。

加賀美さん 僕も凄い楽しみです。

志村けんの大爆笑展
宮城会場: TFUギャラリーミニモリ(東北福祉大学仙台東口キャンパス) / 11月6日(土)~11月28日(日)
石川会場: 金沢エムザ8階催事場 / 12月22日(水)~2022年1月11日(火)

ゲルハルト・リヒター展
会場: 東京国立近代美術館
会期: 2022年6月7日~10月2日
巡回: 愛知・豊田美術館
会期: 2022年10月15日~2023年1月29日

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収録が終わり、「こんな方たちが日本にいるんだなとか、こういう展覧会が行われているんだ、ということを受け取れて嬉しかったです」と玉城さんが感想を漏らすほど、幅広いアートが多くの人を魅了した2021年。2022年もさらにさまざまなアプローチで挑むアートシーンの旗手たちに期待が高まる。

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出演者

玉城ティナ
青野尚子
加賀美健
佐々木健
卯城竜太
加藤翼
渡辺志桜里