東日本大震災から9年、2020年3月14日に常磐線の東京(日暮里)~仙台(岩沼)間が1本のレールでつながる。
BSフジでは2012年から毎年「甦れ!東北の鉄路」と題し、震災で被災した東北の鉄路の復旧をドキュメントで紹介してきたが、いよいよ常磐線の富岡~浪江間20.8キロの復旧をもって、東日本大震災で被災したすべての鉄路が復旧する(一部バス転換)。
そこで今回は、我々が長期にわたって取材した常磐線復旧のドキュメントを振り返りながら、鉄路が町の復興に果たした役割や人々の暮らしを検証する。
更に今回は常磐線復旧最大の難所だった、福島第一原発事故による帰還困難区域で、毎時10マイクロシーベルトを超える中、生い茂る草木を伐採し、表土をはぎ取り、放射性セシウムが付着したすべての枕木やバラスト(レールの敷石)を取り換えるなど、今まで経験したことのない復旧作業となった様子も伝える。2020年3月の復旧に合わせて、この区間を走る富岡町、大熊町、そして双葉町の一部が帰還困難区域から解除される。
震災から9年後の常磐線の全線復旧は、被災沿線の住民が再び故郷に戻れる切り札となるのか、被災した町にとって、いよいよ正念場だ。
今回は、常磐線の全線運転再開を見つめながら、被災した自治体の現状と課題、そして町の復興に向けた取り組みを紹介する。
尚、今回は2019年3月「リアス線」として新たに運行を開始した三陸鉄道の黒字化に向け、全社一丸となって取り組む姿も紹介するが、10月の台風19号で再び鉄路が寸断された。
台風直前の記者会見で中村社長は「乗客数はリアス線開通前の2倍で今期は3000万円の黒字を見込んでいる」と胸を張って表明した矢先の台風被害であった。
我々は再び試練に立たされた三陸鉄道に向かった。