黒部川の峡谷に沿って走る黒部峡谷鉄道は、宇奈月~欅平(けやきだいら)間20.1kmを結ぶ日本でも珍しい軌間762mmの鉄道だ。
 かつては、黒部川の水力発電所を建設するためにつくられた専用線で、昭和のはじめまでは「生命の保証をしません」を条件に一般乗客を乗せていた。41のトンネルをぬけ22の橋梁を渡りながら深山幽谷の黒部川を奥へ奥へと登っていく様子は、まさにここが日本の秘境であることを教えてくれる。
 一方、箱根観光の輸送を担う箱根登山鉄道は小田原が起点だが、箱根湯本までは小田急の車両のみ運行されている。登山電車は箱根湯本から出ている。急勾配区間は80パーミル。つまり1000mに対して80メートルの高低差と日本で最大級のものだ。
 3回スイッチバックしながら登っていく鉄道に完全密着した。