「トップ・ギア」はいかにも男性向けの番組ですが、車のことなどほとんどわからない女性にも人気があります。番組の成功の秘訣は何だと思いますか。
ぼくたちは男性向けの番組だとは考えていないんだ。どちらかといえば、家族向けのエンターテインメントというか、よく言うようにバイセクシャルなものというか、いや間違えた、男女を区別しないという意味だからユニセックスだよね。だから、女性に見てもらえるのはうれしいね。大の車好きの女性もいれば、そうじゃない男もいるしね。
番組の成功の秘訣は、間違いなく何かすごく複雑なものだと思う。つかみどころがなくて、説明のしようがない。ただ、男3人が車という観点だけから世界全体を見るというひねくれた点と、ぼくらのけなしあいがいい感じに独創的だという点が、まさに組み合わさったものなんじゃないかな。それが番組に勢いをつけているのは確かだろうね。
最初のシリーズの時は成功しなかったと思いますが、現在のシリーズが成功したのはなぜでしょうか。
最初の番組というのは、あの昔の番組の時のこと?
ええ、最初の「トップ・ギア」は視聴率がふるわず打ち切りになりましたよね。
そう、結果的にはそうなった。長い間うまくいっていて、70年代半ばから続いてきたけど、旧編成の番組の終了間際には、確かにちょっとくたびれた感じになっていたね。誰が司会をして、どんな内容にすればいいか、見えなくなっていたんだ。自動車情報番組の形式だったし、コンセプト自体がかなり時代遅れになっていたから、いったん打ち切って大々的に構想を練り直したんだ。 そういうわけで、今ではまったく違う番組になった。昔はいかにも車雑誌のテレビ版という感じだったけれど、今は車をテーマにした、手の込んだドタバタ喜劇風のホームコメディになっているよ。
あなたがたの身の安全はどの程度守られていたのですか。今回の放送では、ときどきガードマンの姿がちらほら見られますが、そうやって警護されていても、イラクでの撮影は本気で命の危険を感じることはありましたか。
うん、そうだね、警護のためのガードマンが何人かついていたよ、元軍人風の。それに医師や元特殊部隊の衛生兵も一緒だったし、最初は防弾チョッキも着ていたしね。
どのぐらい恐怖を感じたかという質問についてだけど、最初はあそこへ行くのを知らなくて、知らされたときには、さすがに今回ばかりはやりすぎなんじゃないかと思った。ちょっとリスキーだからね。でもすぐに、実際はぜんぜん危険なんかじゃないことがわかった。現地ではものすごく歓迎されて、行ったのを喜んでもらえた。ほんとにホッとしたね。防弾チョッキを脱いでも問題がなく、着て歩かなくていいとわかったときは、実にうれしかった。ものすごく重くて、汗まみれになるんだ。
中東全般に対して持たれている、ある種の誤解を打ち砕こうというのが、プロデューサーの明確な意図だったのでしょうか。
もともとは、中東を車で走るのはおもしろいだろうと思ったんだ。行ったことがないし、砂漠のドライブはいつだって魅力的だし、景色も最高だし、という感じで。必ずしも中東に対する誤解を打ち砕くつもりで行ったわけではないと思うけれど、その役に立てたらいいなとは思ってる。ひどく誤解されているみたいだし、なぜだか危険すぎて行けないような場所だと思われているからね。 でも今回、かなりの期間滞在してみて、その経験から言うと、ものすごく見て回りやすいし、大いに歓迎してもらえる場所だよ。長い砂漠生活の歴史のなかで培われた、もうほとんど文化といってもいいくらいで、よそ者や旅人を歓迎してくれるんだ。ほんとうにいいところだから、おすすめだよ。
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