12月
#15 僕たちの聖地巡礼

今回のテーマは「聖地」。楽器の聖地・御茶ノ水、本の聖地・神保町、オタク文化の聖地・秋葉原、ボートレースの聖地・平和島、千ベロで賑わう聖地・赤羽。そこは如何にして聖地になったのか?そんな聖地を訪れるのは、かつて明治大学の学生だった芥川賞作家の羽田圭介。学生時代に通った御茶ノ水を根城に、東京の各地に存在する聖地の歴史を紐解きつつ、「この街で小説を書くなら…」という妄想でその魅力を独自に導き出す。
<出演者> 羽田圭介

第29回 前編 12月3日放送

楽器の聖地/御茶ノ水

元々は古道具屋が多い街だったが、戦後、進駐軍が国に帰る際に管楽器を売りに来た。その後ジャズが大流行し、古道具店は新しい楽器を仕入れ、次々に楽器店へ生まれ変わっていった。学生の頃音楽にはまった羽田も、この聖地に巡礼を重ねた。

羽田「(11年ぶりにギターを弾く)もう弾けなくなっちゃった!“ハロウィン”とか弾いてたんですよ!本当なんですよ!大学4年まで!」

■下倉楽器 御茶ノ水本店
■クロサワ楽器

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

羽田「主人公はさっきお話を聞いたお客さん。自分の中で納得できれば幸福を感じるという…自分のルールを守っているタイプ。殺し屋とか?笑 普段は、和ませて懐に入るタイプだが、ワイヤーで殺す。弱いテンションで。」

『ゆるいテンション』羽田圭介
私が楽器の聖地へ足を運ぶ理由はただ一つ…。
私の武器を吟味するためだ。
最近のお気に入りはギブソンの弦。
こいつが一番ターゲットの首にフィットする。
そう私は、ゆるいテンションの殺し屋…通称レスポール。

古本の聖地/神保町

神保町周辺には、東大、一橋大など数多くの学校が集まっていた。そこから古本屋が軒を連ねるようになったという…。

羽田「ちょっとだけ古いインテリアの雑誌とか気になりますね。モダンなんだけど、少し古い。ソファの足とか、ちょっとしたところに技術の進歩を感じる。」

■小宮山書店

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

羽田「主人公は、あの若い女性の店員さん。なんであんなに若い人がこんなに古い本に囲まれてるんだろう。世界を救うような任務を任されて、調べ続けてる。世界…地球よりもっと狭い…千代田区。千代田区の滅亡を救おうとしてるんじゃないかな。コードネームがあるとしたら、“ブックウォール”。」

『シャッターがおりてから』羽田圭介
シャッターが下りた店内で、一人私は探している
一つのヒントを、千代田区を救うヒントを…
それが私の秘密のミッション
この古本の聖地に通う唯一の理由…
そしてコードネーム「ブックウォール」の使命

萌えの聖地/秋葉原

かつての秋葉原は闇市から派生した電気店が数多く軒を連ねる「電化製品の聖地」。現在は「オタクの聖地」として、500店以上のゲーム、アニメなどの専門店が集中。年間およそ600万人もの外国人観光客が訪れている。そんな秋葉原のもうひとつの顔が「萌えの聖地」。

店員「羽田で“羽”の字がついているので“圭ぴょんご主人様”でどうですか?」
羽田「あ、じゃあそれで」
  「(撮った写真を見て)俺めっちゃ笑顔!あんまり笑わないんですよ!なんかいいっすね。」

■@ほぉ〜むカフェ

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

羽田「主人公は、やっぱりあのメイドさん。踊りながらこっち見てくれたし。ゆくゆくはすごい経営者になる。タバコとか吸って…。ベンツのSクラスとか、40代で、いや32歳で乗ってる!」

「萌え萌えSクラス」羽田圭介
萌えの聖地で働き始めて、もう何年になるのかしら?
気づいたら社長の椅子にすわっていた…
最近覚えたタバコを
Sクラスのシートで蒸すのが私の息抜き
私には30歳を過ぎた今も支えとなっている言葉がある
-いらっしゃいませ ご主人様。

第30回 後編 12月10日放送

カレーの聖地/神保町

古本の聖地・神保町が持つもうひとつの顔が「カレーの聖地」。この街には、ある芥川賞作家が、学生の頃から通い詰めているカレー店がある。

羽田「芥川賞取って4年経つ今もビーフカレー頼んでないんですよ(笑)ああ、美味い」

■スマトラカレー 共栄堂

ボートレースの聖地/平和島ボートレース場

平和島ボートレース場は、埋め立ての人口島だった平和島に、昭和29年に開場した。現在およそ620億円と、全国有数の年間売り上げを誇る聖地である。羽田圭介、聖地にて初めてボートレースを買う。

羽田「都心にレース場あるというのが意外ですね!」
羽田「賭けは数字ですから。僕はそんなに熱くならないです(笑)」

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

羽田「主人公はあの頑丈そうなお客さん。雰囲気違うなって。たぶん、元ボートの選手。昔ボートやっていて怪我で引退して…不倫とかもしてたと思う。」

「もっとも広い水の中」羽田圭介
この広い水の聖地が俺を苦しめ続けている。
最初のつまずきは、賞金王を目前にしたレースでの怪我だった。
そのまま病院に運ばれ、俺は引退した…。
その後は、好きでもない女との不倫 そして離婚…
今日も俺は聖地にたたずみ、後悔の念に襲われている…
あゝ、3番も買っておけば…
今日もおケラだ…

センベロの聖地/赤羽

およそ90の飲み屋が軒を連ねる一番街には、昼から酒を楽しむ人が集まる。赤羽は昔から工場の街。夜勤明けの工場の従業員のために午前中から飲み屋が営業、安くお酒を提供していた。

羽田「平日の昼2時にお客さんいるよ!ランチ利用のお客さんかな?と思ったけど酒飲んでる見たい!」

■鉄板酒場「鐡一」

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

「主人公はあちらのお父さん。多分地主さん。この辺の土地が安い時から土地をいっぱい持っていて、今は悠々自適」

「笑いがとまらない」羽田圭介
私が聖地に通いつめる理由ですか?
それは庶民の体温を感じていたいから
屋敷に戻ると殿と言われている私も、
ここでは、どでかハイのゲンちゃんと呼ばれている
彼らは知らない…
今飲んでいる店の土地がすべて私のものとは…
もう、笑いがとまらない…
羽田「店多いな、ほんとに。金魚の醤油差しにテキーラ入ってるの!?」
男性客「あの…ファンなんですけど、お名前教えてもらえませんか?」
羽田「赤羽ですね〜」

■炭火串焼き「酒月」
■やきとん大王

<芥川賞作家、聖地で妄想する>

「主人公はこちらの女性客2人。どちらかがDVの旦那さんを殺していて、逃避行の最中」

「最後の酒」羽田圭介
毎晩続く夫の暴力
気がついたら夫の背中に包丁が突き立っていた
逃避行に付き合ってくれたのは、
飲み友のソウルメイト
そんな私たちがたどり着いたのは、この聖地だった
最後の乾杯をするために…
でも大好きなハイボールのはずなのに…すすまない…
クソッ、テキーラ金魚を8個も飲むんじゃなかった…

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