8月
#11 池袋スタンドアップ

今回のテーマは『池袋』。IWGP、風俗街、ナンパ、オタク…。渋谷・新宿に続く第三の繁華街でありながら、東京イチ猥雑な街と呼ばれ、実態がないとされた街・池袋。その“混沌”を強みとして、従来のイメージから脱却し、独自の存在感で力強く立ち上がる街を、池袋に所縁のある著名人のインタビューからひも解いた。――混沌とした街が、今、変わろうとしている。
<ナレーション> 橋本愛(女優)
<出演者> 天野ひろゆき(お笑い芸人)、久保ミツロウ(漫画家)、隈研吾(建築家)、高野之夫(豊島区長)、堀田茜(モデル)、矢沢心(女優)、山下清海(立正大学教授)※五十音順

第21回 前編:池袋スタンドアップ 8月6日放送

「『池袋』/何を思い浮かべますか?」
■久保ミツロウ(漫画家) 「友達のできない街・池袋」
■天野ひろゆき(お笑い芸人) 「大都会なのに怪しい街」
■矢沢心(女優) 「休まない街」
■堀田茜(モデル) 「雑多な街。いい意味で」
■高野之夫(豊島区長) 「多様性のある街。ごちゃごちゃな街。それが池袋です」

「『池袋』との出会い」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「19歳の時に上京してから池袋の周りをぐるぐるしてる(笑)。当時、貧乏暮らしと言えば池袋のイメージ。サンシャインで都会の空気を摂取してました。」

■ 堀田茜(モデル)
「18歳の時に大学のオープンキャンパスで来ました。当時は治安が悪いイメージだったけど、大学生になって外の世界を見てみる、社会勉強してみるにはいい街だったと思う。」

■ 高野之夫(豊島区長)
「生まれてから81年、ずっと池袋を見てきました。戦前・戦中はおとなしい街だったが、戦後に闇市が形成され、これが池袋のイメージに。そこには生きるための強いエネルギーがあったが、街が近代化していく中、それが逆に遅れとなった部分もあるんじゃないかな。」

■ 隈研吾(建築家)
「森が不思議に残っていたり、時間も機能も、住人もいろんな人がミックスしている。いま世界で面白くなっている場所って、ちょっと危ないものをミックスしているところが、パリでもNYでも一番おしゃれな場所になっていて、東京で探すと池袋かなと思いますね」

「『池袋』の東口と西口」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「『トッキュー』や『モテキ』を書いていたころが一番池袋の真ん中、怪しい場所に住んでいた時期でした。ナンパも勧誘もされない、自分が何の対象にもならない、いい街です(笑)。
東が派手になっていく分、西は細分化が続いていくんじゃないかと思います」。

■ 高野之夫(豊島区長)
「公民連携で『賑わい』を作ろうと。『Hareza池袋』まさにそんな場所。最先端の文化から、伝統文化、宝塚まで楽しめる。劇場だけでなく周辺が文化の街になる。人が集まって、文化を楽しんだ後、街に流れ込む、文化・芸術の余韻を楽しめる街にしていく。」

■ 隈研吾(建築家)
「高野区長の考える『文化』が、庶民文化からハイカルチャーから全部を包含するもので、すごく新しくて面白いと思った。ヨーロッパでは若くて危ない匂いのする文化が重要なエネルギー源になっている。日本でも絶対そういうものが必要になってくると思うんです。

「『池袋』で印象的な場所」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「今は、西口のさらに北口側の中華が熱いなと思います。中華の中でもいろんな地方の中華が食べられる。細分化した中華を食べられるのが楽しくなってきましたね」

■ 山下清海(立正大学教授)
「2003年に池袋チャイナタウンという名前を付けました。『中華街』は観光地、中国人が生活のために作り上げた町がチャイナタウン。再出発の場所として日本を選んだ、リセットボタンを日本で推す、と私は言いますが、そんな人が多い。」

■ 隈研吾(建築家)
「この10年で、池袋は東京の文化を代表する場所になったと思っている。世界の観光客でも感度のいい人は池袋に来るようになって。この面白さにもっと磨きがかかったら、さらに世界の中での池袋の存在感って高くなると思うな」

「自分にとって『池袋』とは」

■ 堀田茜(モデル)
「就職するか芸能続けるか迷っていた時、池袋に来ると、これだけいろんな人がいるんだから好きなことやってみようと思えた。芸能界に胸を張って進むために、背中を押してくれた存在。騙されたと思って居一度遊びに来てほしいです(笑)」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「この街にいると、ふと、自分の方が異邦人だっていう気持ちにさせられる瞬間がたくさんある。知ってしまったら離れられない…なんていうんですかね…これが好きっていうことなのかな。」

第22回 後編:池袋スタンドアップ 8月13日放送

「『池袋』との出会い」

■ 天野ひろゆき(お笑い芸人)
「24歳から2年間住んで2回警察が来ましたね。全身タイツを着てる時に刑事さんが聞き込みに来ちゃったり(笑)。今後は見えないけど一番エネルギッシュな時代でした。」

「『池袋ウエストゲートパーク』」

■ 矢沢心(女優)
「池袋に初めて来たのは『池袋ウエストゲートパーク』の撮影の時。現場も楽しかったし、現場以外でもご飯食べに行ったり、あの年代だからこその仲の良さはあった。すごい人たちばかりの作品に若いうちに関わらせてもらった。池袋は自分自身でいられる場所でした。」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「サンシャインの裏でよく撮影していて、毎日のように見ながら通ってました。『IWGP』があったから、漫画にディテールまで街を反映することに憧れたり、『3・3・7ビョーシ』のネームを描いた時にキャラの一人を窪塚さんに寄せて描いたら通ってしまったり(笑)。」

■ 堀田茜(モデル)
「リアリティがあって、不良とか世間的にはよくないことの中に友情やユーモアがあって、その世界観に憧れを持っていました。舞台となった池袋で青春を過ごせたのは嬉しかった」

「『池袋』で印象的な場所」

■ 天野ひろゆき(お笑い芸人)
「ウドちゃんが泥酔して、起きたら池袋駅前の電話ボックスの中でパンツ一丁だったらしい(笑)。羽織るものだけ貸してもらってうちのアパートに来て「天野くん、追い剥ぎにあったんだ!」って(笑)。刺激も印象も強い街。世田谷とかしか住んだことない人はまだ東京を知らないと思っていただいて(笑)」

「自分にとって『池袋』とは」

■ 矢沢心(女優)
「なんだか縁のある場所だな、という。常に一生懸命になれる場所」

■ 天野ひろゆき(お笑い芸人)
「いろんな経験をさせていただいて、僕が一番都会で変わった経験をさせてもらった街であるのは間違いない。たまーに来たくなる。おれ丸くなったなって思った時に、たまーに池袋行って当時のことを思い出す。僕に『東京』を教えてくれた街。」

「変容する『池袋』へ」

■ 天野ひろゆき(お笑い芸人)
「たまに特集でおしゃれな雰囲気出してる (笑)。住みやすい街とかのランキングに入ってるけど、怪しさは残しておいてほしい。新宿のゴールデン街みたいな、そういう場所は残してほしいなって。」

■ 隈研吾(建築家)
「駅の東側と西側が分断されているけれど、そこがミックスされるとまたさらに面白い街になる気がしていて、そこが次の課題だな、と思っていますね」

■ 久保ミツロウ(漫画家)
「もっと混沌としていてほしい。混沌とした説明がつかないなにか…資金がなくてもできる面白いところが増えて、どんどん不思議な街になっていってほしいなって。」

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