5月
#8 下北沢チルドレン

70 年代「下北沢LOFT」 が開業。サザンオールスターズ、山下達郎らがステージに上がり、音楽の街となっていった下北沢。そして80 年代、「本多劇場」がオープンし、次々と増える小劇場とあわせるように、演劇人が集い始め演劇の街となった。また、迷路のように入り組んだ狭い路地には個人商店が軒を連ね、この街は、夢追う若者の街として成熟していった。しかし、2000 年代に入り、小田急線地下ホーム移設工事をきっかけに駅前の再開発が行われ、街の姿は変わり始めている。街並みが変わってしまっても、今までの文化は生き残っていくのか?
番組では、下北沢に所縁のある著名人のインタビューから下北沢の魅力・歴史を探る。

「文化は作るものではなく自然に発生するもの」。カルチャーが染み込んだ街・下北沢を解き明かす。

第15回 前編 5月7日放送

演劇の街

■小手伸也(俳優・演出家)
僕らが学生だったときの劇場は「駅前」、「OFF・OFF」、「スズナリ」、「本多」の4つがメインでした。本多劇場は簡単には立てないので、駅前劇場やOFF・OFFで実力をみせて、スズナリでやって、最後は本多って感じですね。「本多でやる」っていうのは、勢いのある劇団って感じですね。

■根本宗子(劇作家・女優)
本多さんはお客さんがちゃんと入るので観客に楽しんでもらえる演劇を上映するという思いがあるので、借りるまでが大変ですね。私としては、本多劇場で劇団公演ができるまでは事務所に入らないでフリーでやろうと思っていました。規模が大きくなるので、芝居を作るのは楽しかったですね。

音楽の街

■小沢一敬(お笑い芸人)
25歳で上京した時に下北沢駅から自転車で15分のところを借りて、その後に代沢三差路の近くに住みました。昔、THE BLUE HEARTSのヒロトさんがインタビューで「下北沢あたりじゃ僕はおもちゃ、歩いていると皆が僕のTシャツを破るんだ」みたいなのがあって、破られていいTシャツきて歩いていましたね(笑)

■北島健司(UK.PROJECT副社長)
下北沢CULB Queは、THE BLUE HEARTSヒロトさんがTHE HIGH-LOWSを始めるときもライブしてもらいまして、人が凄かったんですね。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTも解散コンサートの直前に「やろう」って話をいただいたんですけど、人が集まりすぎるから危ないのでなくなったんです。僕の中では勝手に彼らは下北沢のバンドって感じですね。

■曽我部恵一(ミュージシャン)
チケットはノルマ性で、売れなかったら自腹になるんで、金銭的なリスクはありますよね。あと練習にもお金がかかるし、日本はロックバンドには向かないですよね(笑)

■金子マリ(ミュージシャン)
「下北沢SHELTER」が90年代に出来たんですけど、ライブの翌日はゴミの山で、街の人から「ライブハウスを下北沢から追い出そう」っていう動きがあったぐらい。その時に世田谷区から私に「下北沢音楽祭」の相談があったんです。それからライブハウス側と商店街側が話し合って受け入れられる形になったんです。

第16回 後編 5月14日放送

カルチャーの始まり

■金子マリ(ミュージシャン)
昔は都内でも2店舗くらいしかライブハウスなくて。荻窪LOFTとか西荻窪LOFTくらい。それが下北沢にも出来て、その後、本多劇場が出来て、文化的なことが始まったと思いますね。

■立川志の輔(落語家)
本多劇場が出来る前って砂利の駐輪場になっていて、そこで黒テントの中で演劇をする劇団が芝居していました。その何年後かに本多劇場が立ち上がるんですよ。そこで「夢の遊眠社」とか「第三舞台」をみて、僕は落語研究会でしたが、いろんな芝居を見ましたね。

駅の再開発/下北沢チルドレン

2004年、小田急線「下北沢」地下化工事開始。“開かずの踏切”、“首都圏私鉄沿線 混雑率ワースト3位”を解消するため2013年に地下化が完了、2019年3月に新駅舎が完成。
2004年「補助54号線」道路工事計画が浮上。2021年までには工事完了予定。
■金子マリ(ミュージシャン)
踏切がなくなった時、私は仕事だったんですけど、息子は見に行って泣いていたみたいですね(笑)。下北沢駅前食品市場は、立ち退きに時間がかかったみたいですね。

■立川志の輔(落語家)
僕は下北沢を落語の拠点にして、現在のOFF・OFFシアターで、1年間毎週水曜、落語をやり続けました。そのおかげもあって本多劇場でロング公演ができるようになりました。他の街だと、「なにバカなことやってんだよ」って言われそうな事も、この街では「やっていいんだよ」って応援してもらえる気がしますね。

■曽我部恵一(ミュージシャン)
最近は海外の方も多いから、そういう人たちに楽しんでもらえる街になったらいいなと。「ブレードランナー」みたいになったらいいですね(笑)。

■根本宗子(劇作家・女優)
最近、日本の劇場って、本多劇場くらいの箱がなくなってきて、逆に借りづらい。だから若手の演劇人が目指さなくなってきている。劇場で見る演劇の価値ってあると思うので、劇場をつかって色々やる劇団が減ってほしくはないですね。

■小手伸也(俳優・演出家)
若者の街っていう一つのモノを世代が入れ替わりながらバトンを繋ぐというは残ってほしいですね。どんなに綺麗になってもいいので。

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