＜サンデードキュメンタリー＞ザ・ノンフィクション特別編『僕とあなたのあしたは･･･ ～海を越えた結婚の行方～』

北海道の小さな漁師町で代々、ホタテ漁を営む掛村家。母の智恵さん（55）は、嫁いできて30年以上、漁を手伝い、3人の子どもを生み育て、夫の両親の介護と、家族のために身を粉にして働き続けてきた。だからこそ、息子たちには、家業に縛られず自由な人生を生きてほしい。そして、自分のような苦労を、息子の結婚相手にはさせたくない…そう思い続けてきた。

2015年、長男の陽介さんが「結婚して漁師を継ぎたい」と台湾出身のローランさんを連れ、実家に帰ってきた。ローランさんは、台湾でスーパーマーケットを経営する実業家の末娘だ。北海道の厳しい自然、ホタテ漁の過酷な仕事、そして言葉の壁…それでも、海を越え嫁いできてくれるローランさんに喜びつつも、不安を隠せない知恵さん。自分と同じつらい思いはさせたくない…そんな知恵さんの気遣いが、知らぬ間にローランさんを追い詰めていた。

その3年後、弟の祐介さんが結婚相手に選んだのも、台湾から舞台メイクの勉強をしに来ていたエイシンさんだ。30歳を過ぎ「子どもが欲しい。子どもを育てるなら、故郷の台湾に帰りたい」と願うエイシンさんだが、祐介さんは「子どもは欲しくない」という思いを抱いていた。愛する妻の願いにどう応えるべきか…一人、北海道に帰省した祐介さん。母・智恵さんに打ち明けたのは、少年時代に、この町で味わったつらい記憶だった。「離婚も考えている」という息子に、智恵さんが掛けた言葉は…

国際結婚をした2人の息子たち。母の思いを越えて、回り始めた運命の行き着く先は…掛村家の８年を見つめた。