Ⓒ東映

2024年2月3日(土) 13:55~15:25

<時代劇>『隠密奉行 朝比奈 第1シリーズ』

次回の放送予定

2024年2月3日(土) 13:55~15:25
第10話「阿蘇山火口の決闘、清正公の秘宝」(最終話)


「事件ですか」
「うむ…… 肥後だ」
熊本城の石垣の修理願いがここ一両年の間に三回も出されているのだ。
「石垣修理に名を借りて、城の縄張りを変えているのかも知れぬ」
「みだりに城に手を加えることは天下の御法度。もし現れれば、謀反の心ありとして一藩おとりつぶしの処分も受けかねぬ大事」
「まさかと思うが、細川殿の真意、那辺にあるか調べてもらいたい」
「もし、細川五十四万石の浮沈に関わる事実が出ました時は……?」
「隠密奉行の権限で不穏の芽を刈るもよし、大目付の権限で上様に進言するもよし…… すべて任せる」

熊本城では、十二年前に石垣が崩れ、人柱を立てて工事を無事に終わらせたことがあった。ところが、その一郭がここ数年何度も崩れていたのだ。
城代家老・長岡監物(伊藤敏八)は隠密奉行が領内に入り込んだとの知らせを受け、憂いの色が濃く、作事奉行の相良右近(中田浩二)に工事に遺漏がないか再三念押しをしていた。

朝比奈を追って肥後まできた真鍋は、みぐるみはがれて無一文になって居たところを旅芸人の嵐千代菊一座に拾われた。
嵐千代菊(滝沢涼子)と、一座の音吉(望月栄希)と竹蔵(國本鐘建)には何かいわくがあるようであり、どうやら隠密奉行を探しているらしい。

朝比奈が興の赴くまま熊本城をスケッチしているところに近づいてきたのが、城下に住む築城家・不破左馬之助(寺尾聰)である。
二人はたちまち意気投合、不破は自分の家に朝比奈を案内した。不破は熊本城に眠るといわれている加藤清正公の隠し財産のありかを探しているのだという。
それは財宝への欲などではなく、自分ならばどのような間道を掘り、どこに軍資金を隠すだろうかという築城家としての興味からであった。
そして、ここというところに見当は付いたのだが、そこには十二年前に人柱となった石工たちの霊を鎮める供養堂が建っているのだという。そして、そこは、ここ数年崩れては修理している場所であった。
成仏できない石工たちのたたりという噂もあるという。

千代菊は不破の屋敷に出入りしていた。というのは、築城家の家の床下には硝石が生じ易いように工夫を凝らしているという。その硝石が目当てなのだ。
「硝石? 硫黄と混ぜれば火薬が出来る…… そんな物騒なものを何に使う?」
お客の気を引くための煙玉に使うのだという千代菊に、朝比奈は軽い疑いを抱く。
そして、朝比奈は真鍋に千代菊たちの様子をそれとなく探るように命じるのだった。
不破が「出口を見つけた!」と城に向かったらしい。
屋敷には朱線の入った城の見取り図があり、場外の一郭に丸が書かれ、
「出口と思しき古井戸を見つけたり」
という書き込みがあった。

不破が、古井戸を通って辿り着いたところには――
黄金の観音像と足元にうずたかく盛られた大判小判、そして、十二年前に人柱になったはずの石工たちの白骨死体があった。
石工たちは人柱に立ったのではなく、ここで殺されていたのだった。
呆然と立ち尽くしていると、別のところから相良たちが入ってきた。
不破はあわてて逃げたが、相良たちに斬りつけられ、深手を負ってしまう。

朝比奈は不破からすべてを聞いた。
そして、相良たちは不破に仲間がいると考え、古井戸を警戒していた。
その古井戸に現れたのが、千代菊たちだった。
千代菊たちは殺された石工たちの遺児だったのだ。そして、石垣を崩していたのも千代菊たちの仕業だった。

相良は、捕らえた千代菊たちを伴って、秘宝を移動するために阿蘇山に向かった。
朝比奈と、相良たちの死闘が阿蘇山で繰り広げられる――

出演者・スタッフ

<出演者>
朝比奈河内守正清:北大路欣也
りん:萬田久子
真鍋平太郎:金田明夫
渡辺弥左衛門:鶴田忍
土屋相模守:船越英二
<ゲスト>
不破左馬之助:寺尾聰
嵐千代菊:滝沢涼子
相良右近:中田浩二
長岡監物:伊藤敏八
<スタッフ>
原案:隆慶一郎
音楽:渡辺俊幸
ナレーター:能村太郎
プロデューサー:西渕憲司、河合徹(フジテレビ)
加藤貢、上阪久和、小嶋雄嗣、塚田英明(東映)
脚本:大野靖子
監督:斎藤光正

番組概要

「またお出かけでございますか?」
お土産マニアの愛妻・りん(萬田久子)に特産物を頼まれて、今日も旅立つは大目付・朝比奈河内守正清(北大路欣也)。大名が不穏な動きをしないよう、監察するのが大目付としてのお役目だが、そのやり方は彼独特。老中・土屋相模守(船越英二)の密命を受けると、身分を隠し、諸藩に潜入。事件を探る。ゆえに諸藩は朝比奈を、隠密奉行と呼んで恐れる。

そして、その朝比奈の秘密の行動を探るよう、目付・渡辺弥左衛門(鶴田忍)から命令をされて、どこまでもついてくるのが、御小人目付・真鍋平太郎(金田明夫)。いつも結局、朝比奈にいいように利用されるが、それもまた楽し。

朝比奈「旅はよいな」真鍋「それはもう、陰気臭い城のなかにいるよりは、はいッ」

 朝比奈は今日も旅空の下。ひそかに、そして大胆に、悪い奴らを斬り伏せる。世はすべて事もなし!

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