- 時代劇
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2024年6月7日(金) 18:00~19:00
<時代劇>『隠密奉行 朝比奈 第1シリーズ』
2024年6月7日(金) 18:00~19:00
第7話「出雲松江、灼熱地獄タタラ」
毎週(金) 18:00~19:00
「はて、どこかで見たような……」
老中土屋相模守に皮財布を見せられて朝比奈は首をひねった。
「そのはずだ。おぬしが昨日捕まえたスリが持っていた。だが、持ち主はなぜか名乗り出ない」
そして、その財布の中には、京極家の出雲大社代参行列を出雲松江藩内で襲撃する内容の書き付けが入っていたのだ。
讃岐丸亀京極家では将軍家御息女との縁組みがまとまり、そのお礼代参に江戸屋敷の側用人・永山修理を派遣することになっているという。
「将軍家御息女の縁組にまつわる不祥事を起こしたとなれば、咎は免れません。縁組への不満か、京極家への恨みか、それとも松江藩を巻き添えにするのがねらいか」
「出来れば事態を未然に防ぎたい…… 行ってくれるか、松江に」
「はッ」
松江領内で、朝比奈は太吉(大澤佑介)という少年に腕を買われて五両で「雇われた」。
太吉に連れられて行ったところは山の中の貧しい小屋。そこで、太吉の祖父の太兵衛から、「地獄タタラ」に閉じ込められている太吉の父・太助(大橋吾郎)を助けて欲しいと懇願された。
出雲は良質の砂鉄が取れる。そこで製鉄業が盛んなのだが、タタラとは、鉄を作る炉のこと。そして、松江藩では鉄は重要な財源。管理も厳しく、炉の数も決められている。ところが、その制限から外れたタタラが一つ。それが「地獄タタラ」である。
地獄タタラは、犯罪を犯したり役人に逆らったりしたタタラ職人たちを送り込み死ぬまで働かせるというものである。そして、それを取り仕切っているのがよりにもよって、藩の鉄奉行だというのだ。
「おじちゃん、父ちゃんを助けてくれるね」
「五両といえば大金だ。どうやって工面した」
「――姉ちゃんを売ったんだ」
太吉の姉・お小夜は松江城下の女郎屋に売られたが、まだ幼いので下働きとして使われていた。
朝比奈は女郎屋に金を払い、お小夜を取り戻す。
京極家の代参の一行が松江に着いた。代参の京極家側用人永山修理(堀内正美)の兄八木主膳(津村鷹志)は松江藩の鉄奉行だった。
そして、八木主膳は地獄タタラで作り出した極上の「玉鋼」をある手だてで持って領外へ持ち出して巨万の富を手にしようと図っていた。
朝比奈は、太吉とお小夜の案内で地獄タタラに向かった。
地獄タタラでは、みんな足かせをはめられている上に、十人ほどの浪人が厳重に警備していた。
「このままじゃ、みんなを助け出すのは難しいな」
「代参行列を襲う時にはみんな居なくなるよ」
「お小夜ちゃん、どうしてそれを知っているんだ?」
お小夜は、女郎屋で榎源内(唐沢民賢)に率いられた浪人たちが地獄タタラにいる浪人たちと共に代参行列を襲う相談をしているのを小耳に挟んでいたのだ。
それによると、代参行列が出雲大社の参詣を終えて、海潮の湯(うしおのゆ)に泊った一行が出立したあとを襲うのだという。
「地獄タタラは鉄奉行八木主膳の個人的なもの。その警備をしている浪人たちが弟の代参行列を襲うとは、ちょっと妙だ……」
代参行列襲撃には何か裏があるのではないか……
朝比奈と、八木・永山兄弟の知恵比べが始まった――
- <出演者>
- 朝比奈河内守正清:北大路欣也
- りん:萬田久子
- 真鍋平太郎:金田明夫
- 渡辺弥左衛門:鶴田忍
- 土屋相模守:船越英二
- <ゲスト>
- 太 助:大橋 吾郎
- 八木 主膳:津村 鷹志
- 永山 修理:堀内 正美
- <スタッフ>
- 原案:隆慶一郎
- 音楽:渡辺俊幸
- ナレーター:能村太郎
- プロデューサー:西渕憲司、河合徹(フジテレビ)
- 加藤貢、上阪久和、小嶋雄嗣、塚田英明(東映)
- 脚本:大野靖子
- 監督:斎藤光正
「またお出かけでございますか?」
お土産マニアの愛妻・りん(萬田久子)に特産物を頼まれて、今日も旅立つは大目付・朝比奈河内守正清(北大路欣也)。大名が不穏な動きをしないよう、監察するのが大目付としてのお役目だが、そのやり方は彼独特。老中・土屋相模守(船越英二)の密命を受けると、身分を隠し、諸藩に潜入。事件を探る。ゆえに諸藩は朝比奈を、隠密奉行と呼んで恐れる。
そして、その朝比奈の秘密の行動を探るよう、目付・渡辺弥左衛門(鶴田忍)から命令をされて、どこまでもついてくるのが、御小人目付・真鍋平太郎(金田明夫)。いつも結局、朝比奈にいいように利用されるが、それもまた楽し。
朝比奈「旅はよいな」真鍋「それはもう、陰気臭い城のなかにいるよりは、はいッ」
朝比奈は今日も旅空の下。ひそかに、そして大胆に、悪い奴らを斬り伏せる。世はすべて事もなし!