＜時代劇名作選＞『無宿侍』

　卍幻之介と名を変え柘植のゲンは、ある宿場で陰公方の許しを得て今では越前松平家に仕官し左近司糺と名乗る元陰仲間と会うが、左近司はなぜか幻之介と勝負したがる。幻之介は、その宿場を仕切る聖天一家に情夫の清造を殺された女郎のお新に同情する。清造が生きていることがわかるが、お新共々聖天一家に捕まってしまう。幻之介が救出に向かうが、その前に左近司が立ちはだかる。

※1973年の作品

陰公方に操られる謎の暗殺集団「陰」の一員・ゲンは、組織を裏切り抜忍となった親友・弥藤次（山崎努）を倒した。だがその時、燃えさかるような憎悪をこめて見つめる娘・さと（宇津宮雅代）の瞳から、ゲンは弥藤次がさとへの愛ゆえに抜忍となったことを知る。死すら恐れず忍者の里を捨てるほど、そんな素晴らしいものが別の世界に本当にあるのだろうか…。傀儡人形のような己の生き方に疑問を感じ始めたゲンもまた抜忍となり、「愛」について教えられた女・さとの幻影を追い、陰公方の正体を探りながら、迫りくる不気味な忍者の追っ手と壮絶な戦いを繰り広げる。