松下奈緒 - ロダンを愛した女たち
松下奈緒 - ロダンを愛した女たち

松下奈緒が迫る魅惑のフランス・ジャポニスム第二弾!

彫刻の世界を変えた天才に、創造の情熱とインスピレーションを与えた素晴らしい女性達とは!?

松下奈緒 ロダンを愛した女たち2016年3月5日(土) 19:00~20:55

今回の旅は、パリ・ロダン美術館からスタートする。ロダン傑作群を紹介し、ルネッサンス時代のミケランジェロ以降に出現した、史上最高の彫刻家であるロダンの魅力に触れ、その作品を味わう。そこには、彼自身が収集したゴッホの絵が何枚か残されていた。同じように日本に憧れながら若くして死んだゴッホに、晩年のロダンは共感していたのだ。当時ロダンは、夢の国日本で、自身のデッサン展を開催することを熱望していた。しかし、第一次大戦の開戦とロダンの死により実現することはなかった。それは、西洋でのジャポニスムの終焉の時と重なる。

ロダンが日本に憧れた幸福な時代に遡りつつ、3人の女性たちを語っていく。

若きロダンは、壁面を飾る装飾レリーフの仕事を中心に制作する職人だった。下積みの日々を支えたのは、お針子ローズ。彼女をモデルに初期作品を生み始めたロダンの前に、新たな芸術の潮流「アールヌーボー」の波が押し寄せる。それは、これまでの西洋芸術の伝統にとらわれない、自然や異文化の芸術を取り込んだ有機的なデザインが特徴だった。そこに生きづいていたのが日本趣味「ジャポニスム」。浮世絵や指物、焼物といった日本の無名の職人たちが生み出す美術との出会いから、ロダンは新たな時代の芸術家を目指し、自らの個性を発見していく。

浮世絵をロダンに紹介したのは美しく才能に満ちた女弟子、カミーユ・クローデルだった。彼女との恋愛はあまりにも有名で、多くの愛の像が直接的な二人の関係から生まれている。しかしそれ以上に、カミーユ・クローデルがロダンに与えた優れた影響が、ジャポニスムであった。ロダンはクローデルとの恋愛の破綻後に、多数の赤裸々なデッサンを誕生させる。一方クローデルは破滅的な最期を迎える。天才女流彫刻家にとって、師であり愛人だったロダンはいかなる存在だったのか?

さらに、巨匠が晩年を生きた楽園の地ムードンへ。ロダンが憧れた大聖堂の町シャルトル等フランスの美しい町々を訪ね、巨匠の女性達との関わりと傑作誕生の物語、秘められた日本への憧れを解き明かす。

有名なロダンの日本人モデル花子、その作品は頭像とマスクで全身像は残されていない。しかしロダンは、数十枚の花子の全身ヌードデッサンを描き残していたという。花子の手記では、ロダンが見せた浮世絵の中には、春画もあったようだ。ロダンの斬新かつ大胆なデッサン群、そこにある浮世絵との驚くべき共通点とは!?

ロダンは最晩年の1917年、長年自身を支え続けたローズと正式に結婚。その数日後、ローズは死去。数ヵ月後、ロダンもその偉大な人生を閉じる。ロダンの残したものは東と西が幸福な出会いを果たしたジャポニスムの限りなく美しい遺産。カミーユが導き、ローズが促し、花子が教えたロダンの夢見た日本。最も西洋的な芸術とも見えるロダンの彫刻の中に、巨匠が愛した日本、ジャポニスムを発見する時、改めて日本の伝統文化の素晴らしさも見えてくる。

進化する女優・アーティスト松下奈緒ならではの目線と感動。知的好奇心と堂々たる美に溢れたスペシャルプログラムでお届けする。

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