『ガリレオX』

　死体のまま蘇り、人格や意識を持たずに徘徊するという架空の存在、ゾンビ。人間を襲い、そして噛まれた人間もゾンビ化して感染が広がるという設定は、COVIT-19のパンデミックを経験した人類には笑い飛ばせなくもなりました。意外なことに日本には、死霊概念に関係してゾンビ的な存在が神話時代からありました。生ける屍や、ゾンビというイメージには、社会問題への恐怖や懸念が投影されており、「人間とはなにか？」という命題の裏返しです。一方、死んだ魚を紐で吊って水流に入れると、まるで生きているかのように泳ぐ動作をすることから、身体には進化の過程で獲得した機能が埋め込まれていると考えられています。生物の神経系を模倣した4足ロボットの歩行実験では、脳からの信号が無くても歩行ができる、つまりゾンビのように意識の無い体だけでも動けることもわかってきました。そして現在、人間は身体や脳の中にテクノロジーを入れて機械と一体化し、まるで不死を目指すゾンビ的な存在になりつつあります。ゾンビというイメージを通して、生きているとはどういうことか、そして人間とは何かに迫ります。

　「ガリレオＸ」は、科学や科学技術に関わる新しい動向や注目の研究を、「深く・わかりやすく・面白く」伝える、30分の科学ドキュメンタリー。
　タイトルの“Ｘ”は、番組が挑むテーマの広がりを表す“変数Ｘ”。宇宙、 地球、都市、生命科学、脳科学、 メディア、 ロボット、エンジニアリングなど幅広い領域から、暮らしや社会に変革をもたらすかもしれないＸ、常識や固定観念を覆すＸ、日本が世界に誇るＸを毎回取り上げ、サイエンスの最前線とテクノロジーの未来に鋭く迫る！