去年3月、JR山田線宮古~釜石間が三陸鉄道に移管され、北は久慈から南は大船渡の盛まで163キロが1本のレールでつながった。この距離は一つの路線として、JR以外では我が国最長だ。
そこで今回は、久慈から三陸鉄道リアス線に乗って、三陸沿岸を旅する。
久慈は「北限の海女」として、テレビドラマ「あまちゃん」で一躍有名になった町。ウニ漁が盛んで、海女さんが素潜りで獲ったばかりのウニが頂ける。
また、久慈は国内最大の「琥珀」生産地で、博物館もある。
中でも眼を引くのは大和朝廷の時代につくられた勾玉や首飾り、その材料が久慈産の琥珀。
この時代に奈良と久慈を結ぶルートが存在していたのだ。
さて、久慈駅で1日限定20個の「名物ウニ弁当」を買って乗車。
列車は三陸沿岸に沿って南下していく。
全長302メートル、高さ33メートルの安家川橋梁から、太平洋が一望できる。
高さ200メートルの断崖が続く北山崎は、まるで山が海に落ちるような眺望で、思わず息を呑む美しさ。人を寄せ付けない大自然は、まさに「秘境」。
堀内(ほりない)駅のホームに降り立ち、眼下に広がる青い海を眺めながら「名物ウニ弁当」に舌鼓。潮騒を聴きながら、何とも癒されるひとときだ。
しかし、忘れてはならないのが東日本大震災の津波被害。リアス線沿線各地には、慰霊碑が建立されており、手を合わせることも大切だ。
宮古市内の旧たろう観光ホテルは、津波で4階まで浸水、残存した建物は国がはじめて震災遺構として保存を決定、館内を見学できるようになっている。
その、たろう観光ホテルが、海を眼下に望む絶景の高台に「渚亭たろう庵」として再建した。
全室露天風呂付きの客室。新鮮な三陸海の幸の創作料理は絶品だ。
この宿を拠点に、宮古を代表する景勝地「浄土ヶ浜」、小型船に乗って「青の洞窟」、日本三大鍾乳洞「龍泉洞」、廃線となった旧岩泉線を走るレールバイクなど体験。
宮古からJR旧山田線に入り、牡蠣やホタテの養殖で有名な山田へ。
そこから大槌、釜石を経由して、終点の盛(大船渡)に向かう。
色々な景勝地もさることながら、山田湾の牡蠣づくし料理、盛の丸ごと1個アワビカレーなど、食べ応え見応えたっぷりの三陸鉄道リアス線だ。