伊勢神宮と熊野三山を結ぶ、紀伊半島東部を南下する伊勢路は、「伊勢へ七度、熊野へ三度」と呼ばれた信仰の路。江戸時代から、お伊勢参りの後に伊勢路を通って熊野詣が行われた。
2004年、「熊野三山」「高野山」「吉野・大峯」の三つの霊場、それらを結ぶ参詣道の文化的景観が「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産に登録された。
今回は、伊勢神宮から熊野三山までの祈りの回廊を巡る旅に出かけよう。

去年3月にデビューした名古屋発の近鉄特急「ひのとり」に乗って三重県の津へ。そこから松阪へ向かう。
戦国武将・蒲生氏郷が城を築いた松阪は、江戸時代に商業が発展、今も当時の豪商の建物や、現存する日本最大級の武家屋敷が残る。風情ある街並みを、江戸っ子の間で大流行した「松阪もめん」の着物で散策。日本三大和牛の一つ「松阪牛」で腹ごしらえをして、伊勢参りへ。

まず、伊勢神宮・外宮(正式名称:豊受大神宮)へ向かう。
外宮を参拝した後は、古くから人々が憧れてきた特別な聖地、伊勢神宮・内宮(正式名称:皇大神宮)へ。外宮内は左側通行、内宮内は右側通行。参拝の作法や歴史を学んだ後は、名物グルメが並ぶ観光スポット、門前町「おかげ横丁」で食べ歩き。

次に訪れるのは、今年4月三重県多気町に誕生した新たな観光拠点「VISON」。東京ドーム24個分の広大な敷地に、ホテル、産直市場、飲食店、農園などが集結。三重の最新スポットを紹介した後は、熊野古道の歴史を展示する「熊野古道センター」へ。そして熊野古道 伊勢路の一つ、「松本峠」を歩きながら、世界遺産の観光スポットや、日本最古と伝えられる神社を巡る。

今回の旅の終点、新宮で、熊野三山「熊野速玉大社」、そして熊野信仰発祥の地「神倉神社」へ。そして熊野三山の中心で、全国に4700社以上ある熊野神社の総本宮「熊野本宮大社」を参拝した後は、江戸時代から続く老舗旅館に宿泊。日本最古の温泉「湯の峰温泉」で体を温めたら、全てに温泉を使用した料理に舌鼓。
旅の最後は那智の御神体「那智大滝」へ。
コロナ禍の今、江戸時代から続く祈りの回廊を、今こそ強い祈りを持って巡りたい。