ワーグナー、ラフマニノフのピアノで彼らの曲を弾き、偉大な作曲家に向き合う辻井伸行。この地で感じたものを音に変え、辻井はバーゼル交響楽団とラフマニノフを熱演!

 2014年は、日本とスイスの国交樹立150年の記念すべき年。そんな親交深きスイスの地で、辻井伸行のピアノの音色はどう響くのか?

 スイスは、ブラームス、ゲーテ、アインシュタイン、チャップリンなど、多くの芸術家や文人達にインスピレーションを与えた場所。国家権力に追われてスイスに移り住んだワーグナーは、リストの娘・コジマと出会う。生涯の伴侶を得て創作活動に打ち込んだ邸宅は、今は記念館に。ワーグナーが使っていたピアノを特別に弾かせてもらえることになった辻井は、作曲・ワーグナー、編曲・リストによる「イゾルデの愛の死」を奏で、愛から生まれる音楽の素晴らしさを表現する。

 また、数々の不幸や国内情勢の悪化により祖国ロシアを追われ世界を転々とすることになった天才作曲家・ラフマニノフが、作曲する創造力を取り戻したのも、ここスイス。辻井が最も尊敬する音楽家の別荘で、本人の手をかたどった石膏に触れた辻井は、その大きさに驚く。ここでも特別な許可が下り、辻井はラフマニノフが使用していたピアノで「パガニーニの主題による狂詩曲」の一節を演奏。ピアノと曲を通して、ラフマニノフと向かい合う。

 その後、辻井はバーゼル交響楽団とラフマニノフの「ピアノ協奏曲第2番」を共演。番組ラストに披露される旅を振り返った即興オリジナル曲など、辻井が紡ぎ出す音楽はどれも必見!

 人を寄せ付けない厳しさと惹きつける美しさを併せ持つアルプスの山々、その裾野には緑豊かな高原や湖が広がり、中世の面影を残す街並みには時計塔の鐘やパイプオルガンの音が流れる。心と体を震わせる刺激、この旅での音楽を通した人々との出会い、それらへの想いの全てをピアノの音に込めた辻井の魂の演奏は、きっと観る人の心を大きく揺り動かすに違いない。