第92回

株式会社 BSフジ番組審議会 議事概要 BSフジ番組審議会事務局

■開催年月日
平成31年4月3日(水) 午前11時より
■開催場所
東京都港区台場2-4-8 ビーエスフジ
■出席者
今井 通子 (委員長/医師・登山家)
小玉美意子 (副委員長/武蔵大学名誉教授)
今野  勉 (テレビマンユニオン非常勤取締役・最高顧問)
鈴木おさむ (放送作家)
林  高広 (ギンザのサヱグサ取締役・未来創造室室長)
堀  晃和 (産経新聞 編集局文化部長)

リポート提出
音 好宏  (上智大学教授)
■議題
【審議事項(2K)】
番組審議 『 アキレアの橋 ~2020遥かなる東京へ~』
#25 フィギュアスケート 髙橋大輔
2019年2月3日(日) 21:00~22:55放送
【審議事項(4K)】
BS4K放送全般についての自由討議

■議事概要

BSフジ番組審議会が3日開かれ、ヒューマンスポーツドキュメンタリー『アキレアの橋 フィギュアスケート髙橋大輔』について審議した。委員からは髙橋選手の本音を引き出したすばらしい作品との評価があった一方で、振り返りの記録映像に情報が少なく解りにくいところも散見されたという指摘もあった。また4Kについては、まだ視聴環境が整っていない、BS4K放送を知らない人のために宣伝に力を入れるべき、4Kに適したコンテンツを企画すべきなどの意見が出た。

【アキレアの橋 ~2020遥かなる東京へ~】…委員の発言の概要は以下の通り。

  • 『アキレアの橋』では、髙橋大輔選手について、前回引退した後と、現役復帰した後と2回放送しているが、これが見事につながって、アスリートへの究極の問いだと思うが、彼が現役にこだわった理由が明らかにされている。
  • ノーカットで競技映像を何回も流していることが、視聴者の視聴意欲を増していると思う。
  • ロング・インタビューは、スポーツ好きな人にはいいが、ヒューマン・ドキュメンタリーが好きな人には、髙橋選手の普段の映像もあったらヒューマンな部分が見られたと思う。
  • 『アキレアの橋』は、年に数回放送ではもったいない。毎月一回など、定期的な枠で放送した方が視聴者は見やすい。またしっかり番組宣伝をするべきだ。
  • 全体としておもしろく見た。世界レベルのトップ選手が引退後、4年のブランクで復帰してきちんと結果を出した。全日本選手権で2位になって世界選手権に出られるのに辞退した。しかし現役は続行する。その生き方がスポーツの世界にとどまらぬ人間の生き方として大きなことを問いかけてきた。
  • 制作者の目線がはっきしりしていない。「帰ってきたこの人をカメラは追い続けてきました」とナレーションで言っているが、どこから『アキレアの橋』として追い続けてきたのかがよくわからない。8歳の写真や、長光歌子コーチの映像の出所がわからない。誰がいつ何のために撮ったのかわからないと、当該番組との関係がわからない。きちんと資料映像として説明すべきだった。これは、誰が誰と向き合ってドキュメンタリーを作っていくかの問題なので、軽い問題ではない。長光コーチのインタビューが番組の肝だったので、そこを番組の売りにして構成すべきだった。
  • 番組の内容がすばらしかった。奥が深くて凡人には考えられない境地を表現していた。番組プレゼンターの野村忠宏さんがすばらしい聞き手だった。中でも髙橋大輔選手の回には効果を上げていた。「(復帰して)良かったなと思うことしかない」というすばらしい言葉を引き出している。
  • (スポーツドキュメンタリーは)アスリートの言葉を記録するということに意味がある。これは髙橋大輔選手が一番本音を言っていた番組ではないか。地上波だともっと再現VTRにしてしまったかと思うが。野村さんはすばらしい。あそこまで話を聞き出せる人は珍しい。他では聞けない言葉がたくさんあった。野村さんが「柔道をもっと知りたい」と言って髙橋さんがはっとするその表情を引き出した。
  • 放送を続けていくことでアスリートを記録していく番組として価値が高まる。十分すばらしいが、過去映像を減らしてしゃべりの間とかも含めて使うとBSフジでやっている価値がもっと出てくるかと思った。
  • 密着ドキュメンタリーの大事なところは、いかに本音を引き出せるか。控室にカメラが入って髙橋選手の緊張した様子を描写していて、「こんなに緊張するのは久しぶり」だという本音を引き出していた。なぜ現役復帰したのか、論理的な言葉ではなく、「試合が楽しい」というラストの言葉につきる。その他、数多くの本音を引き出した。記録するという意味でも意義のある番組だと感じた。練習中にジャンプで転んで肉離れを起こした時も独自映像で、リハビリしている時のアスリートの筋肉を激写していた。
  • 2時間は長いとちょっと思ったがその長さを感じないぐらい野村さんが巧みだった。もし取材する記者が不勉強で聞きに行ったら、アスリートは心を閉ざしてしまう。野村さんは最適の聞き手だった。この人はわかっていると思うとさらに語りたくなる。
  • アスリートが引退とどう向きあい、決断をするのかという難しいテーマに挑んだことをまず評価したい。今回、番組がフォーカスしたゲストが、髙橋大輔さんという明るく、率直にものを語るキャラクターということもあって、髙橋大輔さんの最初の引退、そして、現役復帰に至る心の内側で起こった葛藤を丁寧に語らせている。インタビューの間に入る髙橋大輔選手の足跡を振り返る記録映像は、丁寧な編集がなされており、インタビュー内容を視聴者に理解させるのに成功している。ただ、この振り返りの記録映像に関しては、撮影時期や場所などについての情報がないため、やや解りにくいところも散見された。
  • 現役復帰を決断した後、髙橋大輔さんは、現役時代に自身を支えてくれた「チーム髙橋」の支援を得ることになるのだが、このチーム髙橋のことはちゃんと説明をした方がよかっただろう。また、髙橋さんのためにスケートリンクを建設するなど、髙橋さんを支えた関西大学の力も大きかったはずだが、そのあたりにも触れると、より理解が深まったのではなかろうか。
  • アスリートの現役引退というテーマに挑戦し、著名なアスリート本人が語ったのは、ロング・インタビュー番組だからこそできたことであろう。この番組ならではのインタビューとして評価したい。
  • 地方の大会はなかなか見られないのでそこがばっちり見られたのが良かった。ファンからすれば編集の流れはあまり気にしない。写真が一枚出ただけでいい。選手を大事にして、選手に寄り添った番組だった。

これらの意見に対して事業者側からは以下のような発言があった。

  • 『アキレアの橋』は2020東京オリンピック・パラリンピックを見据え、BSフジにはなかったオリンピック関連番組、スポーツドキュメンタリーで、BSフジとフジテレビの財産となり得ることを目指して2016年にスタートした。実際に当番組の素材が、リオオリンピックの中継などフジテレビの報道、情報、スポーツ番組でも放送されていて2020年の一助になっているかと思う。
  • 髙橋大輔選手はフジテレビのオリンピックキャスターとして、リオ、ピョンチャンと2期オリンピックキャスターを務めている。今回はオリンピアン同士の高い次元でのトークだった。
  • 番組尺が長いという指摘についてだが、好きな選手だともっと見たい、と思うものなので、BSだと長尺番組を編成できる環境があるので、この115分に耐えられるビッグインタビューができないかと企画した。『アキレアの橋』は過去には毎月放送していたが、今は年に4回ほど放送している。見ていて長いと思うかもしれないが、永久保存版にできる尺だ。
  • ご指摘のようにトークと、挟むVTRのバランスが難しい。これは試行錯誤しながらやっていく。
  • フルで演技を見せるのがBSの持ち味かと思う。
  • 構成への指摘だが、我々の陥りやすい点だった。フジテレビのスポーツと相談しながら制作している。まさしく作っている方からすれば、「いっぱい映像あるから出そうよ」と思うので混乱してしまったかもしれない。一般の視聴者が見て自然に頭に入ってくるような構成に今後はしたいと思う。
  • チーム髙橋の話も、関大の力もなかなか発想になかった。違う目線からサポートしている人がまだまだいるということに気づかされた。
  • 貴重なご意見をありがとうございます。番組制作スタッフ一同、参考にさせていただく。

【BS4K放送全般についての自由討議】…委員の発言の概要は以下の通り。

  • ソニーがチューナー付きテレビを発売したら4Kテレビ市場は活況を呈してくるのか。オリンピックまでに普及促進キャンペーンを張ってもいいのかと思う。
  • 現在民放BSはサイマル放送部分が多いので4K対応のコンテンツを増やすことよりも、どういう編成にすればサイマルの中で4Kに興味を持つことができるのか、各局情報交換しながらやっていってほしい。
  • オリンピックまでには4Kテレビの普及は上向くのではないかと思う。
  • 宣伝が足りない。4K自体を知らない人が多いので宣伝してほしい。
  • 4Kに適するのはどんな番組なのだろうか。考えている。ショッピング番組を、2K、4K見比べてみると、商品を提示するには4Kは優れていると素直に感じた。4Kの特性を生かした番組が何なのかということは自分の中でまだ答えが出てこない。『BSフジLIVE プライムニュース』の出演者の表情がクリアでおもしろいと思う。ドラマは画質がいいに越したことはない。『警視庁捜査資料管理室』は面白いと思った。
  • リモコンに4Kボタンがあるのでつい押してしまう。4Kを買ったら見ないともったいないという意識が働く。視聴環境が12月以降整った。買ったら今まで以上に見ることになるのは間違いないが、私の周りにもあまり持っている人がいない。会社にも置いたが、ビルが4Kに対応していなかった。
  • 4K番組は『富良野と僕らと倉本聰』、『絶景百名山』を見た。4Kの課題は、今後は画像がきれいというところだけでなくストーリーをどう作るか。そうでないと美しい画像に見合わない。
  • 時代劇は鉄板のコンテンツだ。4Kで作りこんだ方がいい。
  • 昭和の時代に受けていた番組が4Kできれいにみられるといいのでは。昭和の濃いドラマを中高年層は求めている。漫画原作の『レモン・ハート』は内容が濃いから4Kに向く。
  • どういう人が4Kと親和性があるのか。中高年は貯蓄が多い人たちなので向いている。また中年のちょっと下の青年層も向いている。
  • 個人の家に4Kの大きいテレビを置くのが難しいなら、歯科医院、診療所、病院の待合室中心に広げられると台数が伸びるのかと思ったりする。
  • 以前「地デジカ」があったように、キャンペーン用のゆるキャラを作ってはどうか。

これらの意見に対して事業者側からは以下のような発言があった。

  • 普及の施策については、一般社団法人放送サービス高度化推進協会(A-PAB)で論議を重ねている。本日深田恭子さん出演の開局4カ月イベントが開催される。普及のためのイベントなど、A-PABあげて活性化していく。
  • また3か月に1回、新しいパンフレットとVTRを作って量販店に配布していく。
  • J:COMが3月に録画できるハードディスクのついたセットトップボックスの配布を開始したのでそちらも応援していきたい。
  • BSフジも今年から4Kが見られる試写室を作った。4Kを見てもらえる環境を整えていきたい。
  • A-PAB中心に各局で協力してできることをして宣伝する。あとはコンテンツを各局でどう作っていくかということだと思う。ゴルフの「フジサンケイレディスクラシック」では、カメラアングルを変えて、グリーンのアンジュレーションがこう見えるとか、2Kと違う4Kの特色を生かしたオリジナル番組を作る予定。今後もさまざまな企画に取り組んでいきたい。
  • 委員が4Kの特色を生かすことが難しいとおっしゃっていたがまさに我々も悩んでいるところだ。野球やゴルフ、紀行番組の中でどういう撮り方をすればいいのか試行錯誤しながら普及促進に結び付く企画を作っていきたい。映画『八甲田山』の4K版を社内試写で記者に見てもらったところやはり迫力が違うと言われた。やはり普及にはハードとソフト、両輪で行かないといけないと思っている。
  • 4月以降日曜21時に<BSフジ4Kシアター>という、ここを見れば必ず4K番組が見られるという枠を作った。優れた作品をかけていく。花火大会は、今年は4Kで放送する。ゴルフ中継、ナイター中継も4Kで放送する。より一層力を入れていきたい。
  • 映画の4K化は大変費用がかかる。4Kの効果があるのは50インチ以上と言われており、このようなテレビを置ける住環境は限られてくる。しかし、小津安二郎の映画を4K化したものを見たがすばらしかった。キャメラが覗いたファインダーの映像。白黒作品の奥行きはすばらしい。あのローアングルで庭までなめて庭の枝が風で揺れている。そこまで見えると、当時の撮影監督はすごいと思う。それで4Kを買おう!と私は思った。かつての作品の4K化。クラシック音楽の中継もすばらしい。画面から音が沸いてくる臨場感があるので。そのへんを狙ってPRすると、意外と総合放送ではない部分で4Kが普及するかもしれない。このへんはビジネスにつながっていく部分かと思う。引き続き普及にご協力いただければと思う。

■報告事項
放送番組の種別の分類と種別ごとの放送時間(2K・4K)について

  • 改正放送法に基づき、2018年10月~2019年3月の第3週に放送した番組の種別の分類と、種別ごとの放送時間の合計などが報告された。(内容は当社HP上に別掲→)
  • 3月1日から『BSフジLIVE プライムニュース』の同時配信を始めた。

ほか。