•  東日本大震災で津波の被害を受けた、宮城県東松島市大曲浜。震災前、約550世帯1700人が暮らしていた大曲浜は、津波ですべての家屋が全壊。多くの犠牲者を出した。あれからもうすぐ2年…。大曲浜のお正月を訪ねた。
     300年以上前から伝わる伝統の獅子舞から始まったお正月。その獅子舞は、大曲浜の一軒一軒の食卓をずっと見守ってきたという。囲炉裏を囲んでいた時代、自在鉤(じざいかぎ)と呼ばれる鍋を吊るす道具を、その家の家長よりも先に噛んで祈祷し大切にしてきたのだ。代々、家族が集う食卓を大切にしてきた大曲浜の人達に、食卓への思いを聞いた。
     今年ようやく家の修復を終え、おばあさんのために獅子舞を呼んだお宅。豪華なおせち料理を仮設住宅で囲む家族。亡き祖母のお雑煮を心に刻んでいた親子。誰もが家族への愛情を語ってくれた。震災によって帰る故郷は元の形をなくしたが、獅子舞と食卓に、それぞれの帰りたい故郷がしっかりと残されていた。