•  東京・狛江市に、江戸時代の古民家「むいから民家園」がある。狛江市の文化財に指定されるこの場所は、何と誰でも自由に中へ入ることができる。館長の笠井さんは、「昔の暮らしを昔と同じように体感して欲しい」という。訪れた人は思い思いに時間を過ごす。子供たちは庭を駆け回り、お母さんたちは縁側でお話。お弁当を持ってきて食べる人もいる。
     市民の憩いの場となっているこの場所は、市民のボランティアで支えられている。園内整備やイベント補助、家の中を彩る生け花など、ボランティアの力は必要不可欠だ。
     そして月に一度、ボランティアが参加する朝食会が行われている。参加人数は30名で、民家園にある竈を使ってお米を炊き、地元の商店で用意した野菜で味噌汁や惣菜をみんなで作る。
     朝食会当日の集合は朝7時30分。今の時期寒さが厳しいが、暖房器具などもちろんない。寒さに震えながらも、みんなどこか楽しそうに、誰が仕切るわけでもなく自然と準備を始める。参加者は、年齢は子供から大人まで、職業も様々。最初の挨拶はぎこちなくても、一緒にご飯を作り始めればすぐに仲良くなる。火をおこしたことのない若者が、年配のボランティアに教わりながら学び、子供たちはその姿を見つめる。現代なくなりかけている日本の家庭の風景が、意外にも東京に残っていた。準備を終えると、古民家の畳の上に座り、ひとつの長いテーブルで一緒にご飯を食べる。彼らの表情には、人と人とのつながりで生まれる喜びがあふれていた。
     朝食会が終わる時間は9時30分。これからそれぞれの一日が始まる…。