•  ピアニスト辻井伸行さんの母、辻井いつ子さん。彼女の子育て法は今注目を集め、本を執筆、年間100本以上の講演を全国で行っている。彼女は伸行さんに様々な感性で世界を知ってもらうため、動物園や美術館に連れ出すなど、可能な限りの機会を与えた。幼少期に彼の音楽の才能を見出し、ピアニストへの道をサポート。伸行さんは才能を開花させ、国際ピアノコンクールで優勝を果たすまでになった。
     いつ子さんの子育てには、“食”も重要な役割を担っていた。どんなに忙しくても、自分の手料理を用意し本物の味を与える、一緒にご飯を食べる。伸行さんはそんないつ子さんから、食の楽しみ、そこで生まれるコミュニケーションの大切さを自然に学んでいった。
     伸行さんが自立した後は、友人と食卓を囲む機会が増えたといういつ子さん。この日も女子だけの食卓会を開く。そこには、昔から支えてくれた友人、仕事を通じて知り合った友人、新たな友人たちがいた。みんなで大いに食べ、飲み、話す。辛いことも食卓で笑い合えば楽しさに変わる。食卓は、辻井家においていつも大切なエネルギー源だった。