•  全国から弟子入り志願の若者が集まる陶芸工房がある。沖縄県・読谷村の「北窯(きたがま)」。従業員は26人。弟子入りした若者の多くは県外の出身だ。厳かで静寂、都会とは違う“時間の流れ”で仕事を始めるこの「北窯」は20年前、沖縄出身の4人の陶工が開いた。当時、40歳前後だった4人は借金をして窯を開き、念願の独立を果たした。その時、彼らを支えたのが『ゆいまーる』と呼ばれる“沖縄の助け合い精神”だった。
     「助け合うことに弱い者も、強い者もない。相手を思いやる心が、沖縄の器を形作る」。そう話すのは、「北窯」を始めた4人の陶工の1人、松田米司さん。親方である松田さんは、あることを条件に若者たちの弟子入りを許してきた。それは“弟子が交代で仲間のために昼飯を作る”というもの。
     仲間は何を食べたいのか、作った料理は口に合うのか。互いに妥協し合いながら、主張し合いながら共に生きる。食卓が、相手の気持ちを読み解く力をつけてくれるのだという。「北窯」の日々の食卓に存在する『ゆいまーる』精神こそが、人々を魅了する沖縄の器を形作っていた…。