•  沖縄の漁師「海人(うみんちゅ)」に魅せられて、その姿を追い続けている女性がいる。海人写真家・古谷千佳子。
     東京から単身で移り住んで19年。海人と共に海に潜り、伝統の漁や海辺の暮らしをレンズに収めてきた。
     「様々な命を頂いて私たちは生きている。都会では見えにくく忘れがちな事を、沖縄の海や海人が教えてくれる」――そう話す彼女が、最初に衝撃を受けた食卓があった。
     獲ったばかりの海の幸を、船の上で豪快にさばいて食べる「海人ごはん」だ。海を泳ぐ魚が、食べ物になる瞬間に立ち会う、船上の食事風景。海人たちの食卓に人間の原点を感じたという。その後も海人と沖縄の海に潜り、「海人ごはん」を共にしている古谷。彼女にはもうひとつ、大切にしている食卓がある。
     沖縄に移り住んでからこれまで、ずっと自分を支えてきてくれた海人・三郎オジィの家で囲む食卓だ。三郎オジィ、そしてその家族といっしょに頂く獲れたての海の幸。
     古谷が向けたレンズの先には、沖縄の家族たちの、おだやかで優しい笑顔があった。