•  情緒溢れる家並みが残る京都の町家。その日本独特の伝統建築に魅せられた、一人のアメリカ人がいる。建築家 ジェフリー・ムーサス。
     名門マサチューセッツ工科大学大学院で建築を学んだ彼は、1994年に来日。日本を代表する建築事務所を経て、14年前、単身京都に移住した。
     「日本には四季がある。葦戸など、季節に合わせて家も衣替えをし、縁側のように内と外が曖昧な空間で寛ぐ・・・」
     彼がとりわけ心酔したのは京都の町家。自身も町家に暮らしながら、古い伝統建築をただ残すのではなく、そこに新しい素材や技術を融合させる斬新な改築をしてきた。築100年の町家をガラス張りの武具店に甦らせたり、江戸時代の蔵を集いの場につくり変えるなど、今、彼の建築によって失われつつあった日本の伝統建築が現代に次々と甦っているのだ。
     そんなジェフリーを支える、大切な食卓があった。
     それは、お隣に住む材木屋のご夫婦と囲んだ食卓。
     単身で京都に移り住んだ当初から、季節ごとに旬を戴く京都の家庭料理を食べさせてくれ、梅干しの漬け方や甘酒の作り方まで教えてくれた二人を、ジェフリーは日本の両親と慕う。そして二人の節目節目の記念日には、ジェフリーは決まって食事会を開いてきた。
     桜満開のある日。今日は日本のお父さんの誕生日会。
     14年経っても変わらず彼の活力となっている、美味しくて賑やかな「食卓」をお届けする。