•  年間500ステージ、「寄席の爆笑王」と呼ばれる落語家・柳家権太楼。
    東京の下町生まれ下町育ち、生粋の江戸っ子が繰り出す、歯切れ良いリズムと畳み掛ける爆笑の舞台。持ちネタは優に100以上、独演会も即完売の大スター。しかし彼は「落語には完成はない」と断言し、365日毎朝欠かさず、2時間以上の稽古に励む。どんなに高みに登ろうとも更に上がある落語。権太楼は、名人にして、挑戦者だ。

     そんな彼が高座と共に大切にするのが、食卓。彼にとっての夢の食卓とは、6人の弟子と共に取る朝ごはんだ。みんなで同じおかずをつつき合う、一見和気あいあいとした食卓。しかし実はそこには、一つの厳格なルールがあった。それは、「黙って食べないこと」。師弟で囲む笑いの絶えない食卓は、コトバを生業とする落語家同士のバトルの場でもあり、弟子にとっては貴重な修業の舞台だ。そんな食卓に、権太楼は1万匹に1、2匹という超高級シャケ「鮭児」を出す。高いもの、珍しいものを師弟で分け合うことにも、権太楼いわく修業としての深い意味があるという・・・。
     「みんなで分かち合う」、落語も食卓もそれは同じと語る権太楼。権太楼と観客が一体となってライブ感を作り出す舞台に、同じ献立を共にする師弟の食卓に、落語という文化の真髄が見えて来る。