•  たぬきの置物で有名な陶芸の町、滋賀県甲賀市信楽町。伝統の技、豊富な原料など、陶芸に適した環境を求めて、陶芸家たちが集まり、交流が生まれてきた。
     その中で近年、特に注目されている陶芸家夫婦がいる。大谷製陶所の大谷哲也さん桃子さんだ。哲也さんの器は真っ白な磁器。色や模様など余計なものを引き算し、洗練された器は、「料理を盛ってこそ完成される」と哲也さんは語る。高級レストランの一流シェフから普段使いの主婦にまでファンは多い。桃子さんの器は暖かみのある陶器。蓮の花やバナナリーフが描かれているのが特徴。インドネシアに留学中、自身が体験し感じたことを、器に込める。陶芸家の家庭に生まれ、その技術とライフスタイルを哲也さんと共に引き継いできた。
     相反する2つの器だが、同じ食卓に並んでも自然と調和する。それは2人が普段の生活を器作りに反映させているからだという。世界各国からも愛される2人の器、その原点にある彼らの暮らしとは?
     ある日の夜、陶芸家仲間が大谷家に集まってきた。それぞれが自慢の料理と自作の器を持参する、陶芸家ならではの持ち寄りパーティーは、もう何年も前から続いている。そこで、陶芸家たちは器と料理を競い合ってきた。食卓が陶芸家たちにとってのステップアップの場となっていた。