•  この季節、青森県西部の津軽地方は深い雪に覆われる。長い長い冬の間、津軽の人々は寄り添うようにして生きてきた。日本列島を寒波が襲った1月中旬、弘前市石川地区。この地で生まれた「津軽あかつきの会」では、40代から80代までの幅広い世代の農家のお母さんたちが集まり、昔ながらの伝統料理を作っていた。会の目的は、先祖代々、家に伝わってきた貴重な津軽の伝統料理の保存と復活だ。会員たちは地元のお年寄りを一人一人訪ね、家に伝わる料理を聞き書きし、それをレシピにして次代へ残すという地道な活動をずっと続けてきた。
     12年前、「津軽あかつきの会」をたった一人で立ち上げた工藤さん(75歳)は、「地域のお年寄りは宝物」と言う。工藤さんたちは、聞き書きを元に100種類以上の津軽料理を蘇らせた。地元の山菜、丁寧に時間をかけて仕込んだ塩蔵品、麹に漬け込んだ保存食などを使って、一品一品、手間隙をかけて作り上げる。おしゃべりをしながら、みんなで一緒に料理を作り一緒に食べる食卓は、農閑期のお母さんたちの楽しみでもある。今では地元の人たちに料理を味わってもらう食卓会を開いたり、出張料理講習を開いたりと、活動の幅も広がった。
     一年前、「あかつきの会」に久々の新人が入ってきた。60歳の期待の新人、山口さんは先輩たちに手取り足取り教えられながら、新しいレシピに挑戦する。雪深い津軽の風土と、郷土料理を次の世代へと守り継ぐ、お母さんたちの元気な姿を追う。