•  22年前、中国で起こった「天安門事件」が、一人の女性の運命を変えた。料理研究家、ウー・ウェンさん。この事件の影響でウーさんはカナダ留学の道を閉ざされ、代わりに日本へ行くことに。やがて日本人と結婚。自宅で北京の家庭料理を振舞ううちに、その美味しさが評判となり料理研究家となった。
     「食卓とは私の人生、そのもの」と話すウーさんの幼少時代は決して豊かなものではなかった。4歳の時、文化大革命が始まったのだ。父と離れ母と2人農村で働かされ、食べることもままならない日々。しかし、そんな状況の中、ウーさんにとって唯一の幸せな時間が食卓だったという。
     母と娘、2人で囲んだ倹しい食卓。料理にまつわる何気ない会話には、食卓を通して“文化”を伝えようという母の思いが隠されていた。これが、ウーさんの食卓の原点。
     現在、彼女は母に教わった家庭料理を通して中国の文化を伝えている。自宅に友人を招き餃子の食卓会。中国では、家族や親しい友人たちとの食卓といえば、餃子。みんなで、餃子を包む。昔、唯一家族で作った料理も餃子だった。日本で家庭をもち、共に作ったのも、餃子。平和な時も、そうでなかった時も、食卓から幸せを広げてきたウーさんの夢の食卓に迫る。