•  多くの昔話が語り継がれ、「民話のふるさと」として知られる岩手県・遠野市。
     その遠野の人々が胸を張って「ふるさと」だと語るものが、実はもうひとつある。それがビールの原料、ホップだ。“ビールの魂”ともよばれるホップはビールに華やかな香りと爽やかな苦みをもたらす大切な存在。遠野の冷涼な気候がホップの栽培に適しているといい、52年前から栽培が始まった。作付面積で日本一を誇る岩手県の中でも、遠野はなんとその約40%を占める。まさに、「ビールのふるさと」なのだ。
     稲穂が頭を垂れ、実りの季節を感じる夏の終わり。遠野の風物詩、ホップの収穫が始まる。5m以上の高さに育ったホップをテンポよく刈り取っていく姿は壮観!今年のホップは特にできがよいと、農家の方々は口を揃える。
     今、このホップと土地の美味しいモノたちで、遠野をもっと盛り上げたいと奮闘している若手の農家がいる。吉田さん(42歳)だ。収穫が最盛期を迎える、8月のある週末。吉田さんを始めとするホップ農家と地元の人々が力を合わせて、遠野で2つのイベントが行われた。ひとつは畑の恵みに感謝する「遠野ホップ収穫祭」。今年初の試みに、全国各地からビール好きが集まり、楽しい音楽や遠野の名物を味わいながら共に飲んで歌って笑いあう。知らない人同士もいつの間にか仲良しになる、不思議な空間…。
     もうひとつは「遠野ビアツーリズム」。遠野のこと、ビールのことをもっと知ってもらおうと募集をかけ、都会からおよそ30人がやってきた。参加者は初めて手にする生のホップ、その香りや味を堪能し、最後はホップ畑で食卓会。爽やかなホップの香りが漂う自然の中での食卓会で吉田さんは、参加者は、何を感じたのだろうか。