•  岐阜県北部、飛騨地方。世界遺産に認定された合掌造りで知られる白川郷や、“飛騨の小京都”と呼ばれる飛騨高山。この地域では昔から独自の文化が育まれてきた。山に囲まれた風土が産んだ食文化もそのひとつだ。今回は、飛騨に暮らす人たちの「夢の食卓」。
     12年前、都会から飛騨高山に夫婦で移住し、家具工房を開いた人がいる。杉山功さん。杉山さんの作るシンプルなデザインの家具は人気で、注文してから完成まで一年待ち。
     実は、杉山さんが家具職人を目指したのは、54歳の時。それまで勤めていた会社を早期退社し、昔から興味があった家具職人の道を選んだ。そして、第二の人生を歩むべく夫婦でやって来たのが、高山市清見町。都会暮らしが長かった杉山さんには、豊かな自然に囲まれ、四季を肌で感じられるこの地は理想の場所だった。しかし、それとは裏腹に不安もあった。不便な田舎暮らしを本当に続けられるのか?
     そんな杉山さん夫婦を助けてくれたのが、地元の人たち。地元の食、野菜の作り方、厳しい冬の生活についてなど、様々なことを教えてくれたのだ。
     地元の人たちとの交流に欠かせないのが、この地でよく行われてきた食卓会。それぞれが料理を持ち込み、みんなで食卓を囲み、語らう。田舎の食卓は、絆を深めると共に、お互いを気遣う温もりに溢れていた。
     そして、飛騨地方南部の町、飛騨小坂。この町では、昔から大切にしてきた食材がある。それは“エゴマ”。この町で50年に亘り、農業を営んできた倉田三代子さん。倉田さんも、毎年エゴマを栽培し続けてきた。実は、倉田さんにはある想いが・・・。それは、「地元の食材の魅力を知ってもらうと共に、伝統の料理を伝えていきたい」というもの。その想いを伝えるために、様々な食卓会を開いてきた。今日もまた、倉田さんの食卓会が始まる。参加するのは、子育て真っ盛りの若いお母さんとその子供たち。みんなで料理を作り、一緒に食卓を囲む。飛騨の食卓は、これからもしっかりと受け継がれていく。